1,800円以上の注文で送料無料

教養教育の思想性
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍

教養教育の思想性

林哲介【著】

追加する に追加する

教養教育の思想性

定価 ¥3,080

990 定価より2,090円(67%)おトク

獲得ポイント9P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ナカニシヤ出版
発売年月日 2013/01/15
JAN 9784779507311

教養教育の思想性

¥990

商品レビュー

3.5

2件のお客様レビュー

レビューを投稿

2017/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「教養(教育)」とは何か。「一般教育」「(高等)普通教育」「Liberal Arts」「Liberal Education」「General Education」との違いは?「学士力」「人間力」「生きる力」との関係は? 本書は「大学人の思想の貧困」(絹川政吉)さゆえに、明確な教育目標もなく、何でもあり科目群となってしまった大学教養教育を考えるうえで、分かりやすくヒントを与えてくれる。 著者は「教養とは、自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のために何ができるかを知っている状態、あるいはそれを知ろうと努力している状態である」(阿部謹也「『教養』とは何か」講談社)と紹介する。そして、教養(主義)は、12世紀頃の西欧において、次の2つを背景として始まった。 ・都市が成立し、新たな職業選択の可能性が開かれたこと。これにより「いかに生きるか」という問いが実質的な意味をもつようになった。 ・カトリック教会における告解が普及したこと。これにより、自己の内面に目を開き、神の前で自己と向き合い、何が正しいのかを自問し、自分が犯した罪を第三者の前で自己の言葉で客観的に説明しなければならなかった。 やがてルネサンス期(13c末-15c末)を迎え、文学的なもの科学的なものに好奇心が高まる。生来の人間の本性を邪悪なものとして否定し、神への信仰を強制した教会の精神的支配から脱却し、より理性的な「真理」と「正義」が尊重された。このような「人間中心主義」と理性的なアプローチにより、「第一義的に存在するのは『個人』であり、『社会』は第二義的に形成される集合体となった」。 西洋では、「個人」は譲り渡すことのできない尊厳を持っている。その「個人」が集まって「社会」を作る。「個人」の意思に基づいてその「社会」のあり方も決まる。「個人」は、社会における「正義」とは何なのかを理性的に考え、価値判断を持とうとするのだ。 一方、日本には、明治初期まで「社会」という概念はなかった。あったのは「世間」である。今も日本人は「社会」とは異なる「世間」という日本人特有の人間関係の中で生きている。そこでは「個人」は生まれない。「世間」が支配的な力を持っている日本では、眼前の利益と調和、個人の安心・安全に囚われる。キリスト教文化にみられるような、「正義」や「真理」を深い洞察力を以って、論理的、科学的に追求しようとする姿勢は生まれない。 P.ドラッカーは、あらゆる組織を社会を構成する機関として位置づける。つまり、昨今の組織社会の中で「個人」は、組織を超えた「社会」の一員でもある。金、名誉、地位とは関係のない、社会における「正義」を理性的に追求し、「生存や自由、差別や貧困、戦争や平和、隣人愛、エネルギーや環境、こういった問題が自分たちにどうかかわっているのか、何が本当の理解なのか、各自の日常生活とどう関連しているのかを、それぞれの学術と関連付けて理解していく。そのなかで新しい『気づき』を生み出し、興味・関心の幅を拡げていく(cultivate)こと」(p.130)が教養教育における学修である。知識社会は、社会的、地理的に流動的な社会である。そのために努力を怠らず自己を磨く(cultivate)姿勢も欠かせない。このような「社会」の一員として自覚ある姿勢が、まさしく「教養(culture)がある」ということではないだろうか。

Posted by ブクログ

2013/03/08

とても興味深い表題の本だったのでアマゾンで注文。ハードカバーだったが135頁の分量で行間の余裕もあるコンパクトな使用になっている。実質的に前半は、教養教育の関連情報をレビューした内容が中心となっていた。米国教育使節団報告書からはじまり、中教審・臨教審答申、学術会議報告にふれながら...

とても興味深い表題の本だったのでアマゾンで注文。ハードカバーだったが135頁の分量で行間の余裕もあるコンパクトな使用になっている。実質的に前半は、教養教育の関連情報をレビューした内容が中心となっていた。米国教育使節団報告書からはじまり、中教審・臨教審答申、学術会議報告にふれながら、戦後から今日までの主な高等教育政策を概観している。このまとめは、修論の1章を執筆する上で、当たるべき資料の網羅性を担保するのに役立つと思えた。政策・答申カタログの機能として十分だ。またレビュー論文としての体裁のイメージもできた。 しかし、本書の本題である後半「教養教育の思想性」では、哲学・思想に関する記述と引用がほとんどだった。学術会議の報告とサンデルの講義からの示唆だけでなく、著者自身が考える思想性をもう少し聞きたかった。 冒頭で著者は本書を「記録」「メモ」と位置付けている。また、前半最後では「これから先は、まさに素人である筆者が、諸先人の書かれたもののなかから、確固たる脈絡もなく拾い出してつなぐ我流の縫物であり、にわか勉強のメモノートであることをお断りしておく。」(72頁)と謙遜されている。しかし、表題のテーマは壮大な構成・内容を連想させる。本書のような内容を世に送り出すのならば、もう少しやわらかい題の設定の方が、タイトルと中身のギャップがなく、双方がフィットするのではないかと感じた。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品