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東京裁判 フランス人判事の無罪論 文春新書
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東京裁判 フランス人判事の無罪論 文春新書

大岡優一郎【著】

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東京裁判 フランス人判事の無罪論 文春新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2012/12/15
JAN 9784166608928

東京裁判

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商品レビュー

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2024/05/24

極東軍事裁判(東京裁判)と言えば、戦勝国であるアメリカをはじめとする連合国側が恣意的に裁判証拠もままならないままに進めた印象が強い。そのような中でもインドのパール判事(本書中ではパルと記述)の存在は、そうした「勝った側が好き勝手に裁く」やり方に反対し、法治主義の大前提ともなる事後...

極東軍事裁判(東京裁判)と言えば、戦勝国であるアメリカをはじめとする連合国側が恣意的に裁判証拠もままならないままに進めた印象が強い。そのような中でもインドのパール判事(本書中ではパルと記述)の存在は、そうした「勝った側が好き勝手に裁く」やり方に反対し、法治主義の大前提ともなる事後法では裁く事は出来ないとした態度は日本でもよく知られている。極東裁判はこのパールのインドを含む11の国の判事が参加する。参考までに記すと、アメリカ、イギリス、中国、ソ連、オランダ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、フィリピン。そして本書の主人公でもあるアンリ・ベルナールの祖国フランスである。起訴の対象とされたのは昭和3年(1928年)から昭和20年(1945年)9月2日までの17年3か月の出来事、即ち満州事変から太平洋戦争終結までの日本の海外への進出全てを対象とした。因みに満州事変はリットン調査団の報告からも満州における日本の権益の正当性は認められていた訳だから、それすらも覆す様な中々大胆な期間設定であったと言える。確かに満州国建国以降の日本の大陸での振る舞いがその後の日本の軍国主義を象徴するものであるとも言える。本書に登場するベルナールの祖国フランスも当時はアジアやアフリカに多くの植民地を持っていた。それはアメリカ、イギリス、オランダについても例外ではない。裁く側の国の選定について見れば、直接的に武力衝突のあった国々と比べ、フランスは本国がドイツに占領され臨時政府のヴィシー政権時代にインドシナに於いて日本と戦禍を交えたのみであり、他の国々とは異なり、ある程度は冷静かつ客観的な視点で裁判を見渡せる特殊な位置付けであったことも興味深い。とは言え、ベルナールの主張(というか思想に近いと言った方が良いのか)はインドのパールや同じく戦犯の多くの死罪に反対したオーストラリアのウェッブ等とは全く異なるものとなっている。何よりベルナールは敬虔なカトリック信仰であり、実定法以前にある自然法を基にした考え方が価値基準である。だから、存在しない法により裁けないとしたパールの主張とは異なり、存在以前に普遍的に存在する「人を殺してはいけない」といった基準からみたら日本の行為は許されるべきものではないとする。また諸外国が戦後の日本統治の為、昭和天皇を不起訴とする中、ベルナールはただ1人天皇こそが戦犯であると主張する。それでも、裁判自体が成立すべきものではなく、天皇の下で共犯にされた各戦犯たちを裁けないという結論に至る。最後の最後まで他の判事達と一線を画す彼の考え方が、どの様な経歴の中で成り立っていったのか。本書はそうしたベルナールの主張と共に、生い立ちからアフリカでの判事経験など、ベルナールの息子との手紙のやり取りなども通して紐解いていく。 特に後半読み進めるにつれ、神父の道を捨てて戦争に身を投じる姿、敬虔なカトリックにも関わらず離婚歴のある妻を娶る姿、無政府主義に感化された若き時代、ヴィシー政府から死刑を急告されるなど、その波乱に満ちた人生、そして、その中から何か世の中には白黒はっきりつけられない事象の存在を認め、それを超越して自身の結論を勇敢に導き出すベルナールの虜になっていく自分に気づく。パール同様、東京裁判の判事としてもっと注目を浴びてもおかしくない人物である。

Posted by ブクログ

2013/03/30

悪くはないが、構成のせいか、あまり主張が表に出ない。 東京裁判をそもそも知らない人には、何のことやらみかんやら。 フランス人の格好良さは感じた。

Posted by ブクログ

2013/01/06

アンリ・ベルナールは極東国際軍事裁判の11人の判事のなかにあって、時代の少数派ではあっても言うべきことは言うことが大国の一員として果たすべき最低限の責務なのだという確信、あるいは自らと祖国の威厳に拘る強い意思を持ったひとであった。彼は「自然法」に依拠するところが強く、それは、つま...

アンリ・ベルナールは極東国際軍事裁判の11人の判事のなかにあって、時代の少数派ではあっても言うべきことは言うことが大国の一員として果たすべき最低限の責務なのだという確信、あるいは自らと祖国の威厳に拘る強い意思を持ったひとであった。彼は「自然法」に依拠するところが強く、それは、つまり国家の外、国家の上という、より大きな枠組みのなかに存する法にこの戦争犯罪を裁く根拠を求めていたので、人為の法を絶対とする判事たちに対し、懐疑の目を向けたのである。

Posted by ブクログ

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