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この貧しき地上に 佐藤史生コレクション
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 復刊ドットコム |
発売年月日 | 2012/12/17 |
JAN | 9784835449036 |
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この貧しき地上に
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復刊ドットコムから出た作品集、佐藤史生コレクション第3弾。 SFの要素はあるが人間ドラマに重点が置かれた連作と、 その他の作品、等。 ■この貧しき地上に(1982年『グレープフルーツ』第5号掲載) 鹿能深生子(かのう・みおこ)と 幼馴染みの最上安良(もがみ・やすら)は 揃...
復刊ドットコムから出た作品集、佐藤史生コレクション第3弾。 SFの要素はあるが人間ドラマに重点が置かれた連作と、 その他の作品、等。 ■この貧しき地上に(1982年『グレープフルーツ』第5号掲載) 鹿能深生子(かのう・みおこ)と 幼馴染みの最上安良(もがみ・やすら)は 揃って名門大学に入学し、青春を謳歌するはずだったが、 旅に出たまま帰らない安良の兄、 天才の誉れ高かった清良(きよら)の問題が影を落としていた。 両親の期待に応えるべく懸命に兄を真似る安良を 痛々しく思う深生子だったが……。 ※秀才だが生まれつきの天才とは違う若い男女が、 崇敬の的だった行方不明の天才青年を追い続けるより、 現実を見つめて幸せになろうと誓う清々しい物語。 ■青猿記(1983年『グレープフルーツ』第12・13号掲載) 「この貧しき地上に」後日談。 失踪した兄の側の物語。 アメリカでゲームソフトをヒットさせ、 巨万の富を得たものの、 厭世観の強まった蓮見優(はすみ・ゆたか)は日本に戻り、 郊外のコテージで静かに暮らしていたが、 彼は奇妙な居候の世話を焼いていた。 本人は〈ミノ〉と名乗る以外、 一切の記憶を喪失したと思しい美青年は……。 ※彼らは愛し合っているというより、 天才同士の特別な結び付きを確認するために 社会的マイノリティとなることを選び、 ナルシシストが鏡を愛でているかのように映る。 ■一陽来復(1984年『グレープフルーツ』第19号) 更に「青猿記」の後日談。 タイトルは「よくないことの続いた後にいいことが巡って来ること」 あるいは「冬至」を指す。 清良は最上商事社長としての父とその妻である母、 そして次男=弟・安良を取り上げた雑誌の記事を読み、 安良と深生子が婚約したことを知り、 心中複雑だったが、 不思議な老人と出会って冬至のためのカボチャを お裾分けされ……。 ※深刻な流れがここに来てほっこり、まったりする。 ■おまえのやさしい手で (1983年『グレープフルーツ』第9・10号掲載) 三上森介は秦野財団の次期総裁と目される御曹司・ 夏彦に気に入られ、秦野邸の居候に。 屋敷には親戚の娘という花世も一緒に暮らしており、 夏彦は彼女を『マイ・フェア・レディ』よろしく教育中だと 冗談めかして紹介。 森介‐夏彦‐花世の愛憎入り乱れる三角関係――だが……。 ※タイトルのネタ元はシオドア・スタージョン "The Touch of Your Hand"(1953:同邦題)か。 ※※どの作品に似ているとは言えないが、 三島由紀夫風の風雅でありつつ同時に泥臭い愛憎劇。 ■緑柱庭園(エメラルド・ガーデン) 1987年8月『吉祥花人』〔既述〕 https://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4592131207 細かい話は後日ブログにて。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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復刊3冊目。ああ、うれしい。佐藤さんの作品はどれも其処かしこに漂う高尚な雰囲気がたまらない。こっちまで知的で賢くなった気分で読ませます。表題作(3部作)は偶然にも2012年冬至の今日にピッタリの“一陽来復”で〆。“おまえのやさしい手で”“緑中庭園”古い作品なので、時代を感じさせる...
復刊3冊目。ああ、うれしい。佐藤さんの作品はどれも其処かしこに漂う高尚な雰囲気がたまらない。こっちまで知的で賢くなった気分で読ませます。表題作(3部作)は偶然にも2012年冬至の今日にピッタリの“一陽来復”で〆。“おまえのやさしい手で”“緑中庭園”古い作品なので、時代を感じさせるアイテム(PC等)はありますが、時は移ろっても人情の機微は変らない物があるな、と。
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ミノタウルスの伝説を底辺にした、家族の愛憎の物語。 優秀で性格もよくその上美形という完全無欠な兄は、失踪することで、家族の中での自分自身の存在理由を問う。 多分、そういう物語なのだと思う。 雑誌掲載されていた時にも読んでいたけど、その時はむしろ失踪に戸惑い続ける弟や...
ミノタウルスの伝説を底辺にした、家族の愛憎の物語。 優秀で性格もよくその上美形という完全無欠な兄は、失踪することで、家族の中での自分自身の存在理由を問う。 多分、そういう物語なのだと思う。 雑誌掲載されていた時にも読んでいたけど、その時はむしろ失踪に戸惑い続ける弟や、振り回される男にシンクロして、兄への憧憬の物語だととらえていたように思う。 が、兄は自分をミノタウルスに投影する。 その意味が、ようやくわかった気がする。 それは萩尾望都の「城」で語られたテーマに通じるのかもしれない。 いわば、兄は真っ白の石で表面だけを作った城で、人は白黒のバランスがあってこと、であるというそのこと自体が醜悪であると拒絶していたんじゃないかなと。 そして、拒絶こそがミノタウルスなのではないだろうか。 魔物は、異形は、人の心にこそ巣くう。 だれもがそれに折り合いをつけて生きて行く。が、それが出来なかった兄は、自身をミノタウルスという化け物にして、ようやく<人>として生きて行く理由を見つけたのだろう。 にしても、昔は気づかなかったけど、全体的にエロいです。 うむ。 年食って、エロの意味がわかってきたからなんでしょうかね?ww
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