まねき通り十二景 中公文庫

山本一力【著】

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社
• 発売年月日: 2012/12/20
• JAN: 9784122057302

商品レビュー

2023/05/28

時代物に苦手意識を持っていたけど、今も昔も人のあたたかさや悩みは変わらないんだなあと親しみが持てて、とっても読みやすかった。

2020/03/27

天保七年（1836）、お江戸は冬木町まねき通りの日々を描いた物語。冒頭、俯瞰で通りの見取り図が置かれ、あちこち視点をぐぐっと下げてそれぞれのお店や家の光景を見せる。
情を描き過ぎず、人物像を掘り下げるよりは、ひとを浅く多く拾い上げつつ、町のくらしそのものを紙芝居のようにズームイン、ズームアウトで見せてくれるかんじ。
番外編まで入れて全13章
初天神／鬼退治／桃明かり／菜種梅雨／菖蒲湯／鬼灯／天の川／祭半纏／十三夜／もみじ時雨／牡丹餅／餅つき／（番外編）凧揚げ

この章題を見るだけで、1年の季節や十二の月の移ろいが想像を広げる。粋だなあ。ぐるりひと巡りして凧揚げでまた新しい年とこれからに余韻を残す。1枚の絵巻をじっくり眺めたような読後感。見守り合う暮らし、いまこそ大事にしたいものだ。

2018/09/19

山本一力の真骨頂である江戸深川を舞台にした時代物小説ですが、本作は、まねき通り沿いに佇むさまざまなお店とそのお店を営む人々の人情話の短編１２編でしたが、どの短編も、まねき通り沿いに住む人たちが互いに支え合いながら、粋に生きている姿にほっこりしました！
また、夫婦愛や親子愛が肝になっており、それぞれが仕事に誇りを持って生きている姿が良かったです！