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甘味辛味 業界紙時代の藤沢周平 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2012/12/04 |
JAN | 9784167192556 |
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
業界専門紙のコラムだけあって食肉業界の話題が多いが、何かしら必ず日常生活の描写が入っていて、それが時代の背景をよく表していて、とても興味深い。 それにしても、さすが日本語の名手。軽妙な中にも味わいのある、いい文章ばかり。 後半の食肉専門紙の興亡は、これもまた興味深いものではあるが、もう少し、藤沢周平のコラムを読みたかった気がする。
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食品産業新聞社の記者です。自分の会社の歴史に触れられて、大変勉強になった。業界紙を転々と渡り歩き、こんなはずじゃなかったと、心の奥に気持ちを隠して、ただヒタヒタと取材し、原稿を書く。藤沢周平さんのように、没頭してみなければ、その先へは進めない。没頭してみよう。
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文庫オリジナルである。よく知られたことであるが、藤沢周平は作家になる前は10年間「日本加工食品新聞」の編集長をしていた。この新聞社自体には14年間勤めていた。しかも直木賞を獲ってもなお、辞めるまで1年4ヶ月勤めたのである。当たり前だが、一号も欠かすことなく発行し続けた。当然記事も...
文庫オリジナルである。よく知られたことであるが、藤沢周平は作家になる前は10年間「日本加工食品新聞」の編集長をしていた。この新聞社自体には14年間勤めていた。しかも直木賞を獲ってもなお、辞めるまで1年4ヶ月勤めたのである。当たり前だが、一号も欠かすことなく発行し続けた。当然記事も書く。天声人語に当たる「甘味辛味」はほとんど全部藤沢周平が書いた。その約500編のうち70編が精選されて文庫版になった。やっと、というべきだろう。 小説では見られないハム・ソーセージ、食肉業界に気を配る藤沢周平いな、小菅留治がそこにいた。私などは「かの有名な渥美理論に、スーパーに喰われないためには、自分がスーパーになるのが1番というのがあるが」などという文章に出会ってビックリした。普通の人には渥美理論って何?という事になるかもしれないが、少しでも流通業に携わった者にとっては、ホントに有名な人なのである。他にも流通革命などに関連して「V・Cの意義」などという単語が説明無しに出てくる。V・Cとはボランタリー・チェーンのこと。メーカーが援助してチェーン化する。フランチャイズと良く比べられる。あゝ藤沢周平は業界の人だったのだと改めて思ったのだ。 一方、誠実で筋を通す文章も所々見ることが出来たり、異常に(編集長コラムにしては)甲子園話題が多かったり、宅地の前の雑木林の鳥のことを書いたり、など藤沢周平らしさも見せる。 例えば、業界新聞記者時代、畑を潰し大型化していく郷里の農業を憂いていた。「久しぶりに山形の田舎に帰ったが、その変貌ぶりは、ますます激しく驚くことばかりである」(昭和44年10月)「また田舎の話で気がひけるのだが、行くたびに変貌が極端なので」(昭和45年3月)。国策で借金をして大型化して、その挙句減反政策を受け入れる。米どころ山形の風景は40年代に変貌した。そして平成の今はTPPという究極の危機が訪れている。藤沢周平ならば、何と言うだろうか。 なぜか文庫の半分は徳永文一氏の「業界紙時代の藤沢周平」という評伝が載っている。「甘味辛味」の解説という位置づけらしい。読んでノンフィクションとして私の評価は辛味である。半分近くの文章を、藤沢周平の刊行済みの自伝エッセイからとっている。思うに取材が足りない証拠だろう。読んで暫くして気がつくが、純粋な藤沢周平評伝ではない。売る為にこういう表題にしたのであろうが、正しくは「藤沢周平周辺の業界記者群像」とするべきだった。なぜか、食肉業界新聞記者には、作家志望が多かったようだ。その彼らの作家挫折物語を描いているからだ。その中で藤沢周平は出るべくして頭角を現したのだが、他の記者は早々に諦めるか、潰れていった。その哀感は、おそらく徳永文一氏本人のものなのかもしれない。だとすれば、徳永文一は藤沢周平にはならずにあと一歩で何度も何度も賞を逃がした竹田泰一なのだろうと思う。 藤沢周平が仕事と作家を完全に両立させたことも凄いが、エピソードが満載の筈の現代を一切題材とせずにあえて困難な時代物に自分の位置を置いた事を、作家志望たちはもっと考えるべきだろう。 2012年12月24日読了
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