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時間ループ物語論 成長しない時代を生きる
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 洋泉社 |
発売年月日 | 2012/10/26 |
JAN | 9784800300188 |
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時間ループ物語論
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商品レビュー
3.5
11件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こんなにあるぞ、時間ループSF ほら、「時間ループもの」ってよくありますよね? 登場人物が同じ時間を何度も何度も繰り返してしまうって話。 よくありますよね、と言いましたが、実は日本でこんなに増えたのは、ここ20年ぐらいのこと。それまでも活字SFの世界ではちょくちょく使われていたアイデアではあるんですが。 ちなみに僕が知る限り最も古い時間ループものは、リチャード・R・スミス「倦怠の檻」。書かれたのは1958年。火星人の宝石を奪った男が、無限に繰り返される10分間に閉じこめられる。何かしようとあがくものの、たった10分ではほとんど何もできない。その宝石は人間を時間の檻に閉じこめ、記憶の重みによってしだいに押し潰されてゆく拷問道具だった……という話。 ただ、この「倦怠の檻」、日本では1958年にアンソロジーに一度収録されたきり、ほぼ忘れられた話なんですよね。時間ループというアイデアが再発見されたのは、やはりケン・グリムウッドの『リプレイ』(新潮文庫)が1990年に訳されたことが大きいと思います。1988年に死んだ男が、目が覚めると1963年に戻っていて、それからも死ぬたびに人生をやり直すという話。絶望しかなかった「倦怠の檻」に比べると、試行錯誤を繰り返すことで状況が良くなってゆくという希望がある展開でした。 日本でもその影響を受け、主人公が人生をやり直すという話がずいぶん書かれました。最近ではアニメにもなった長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』(MF文庫J)なんてのがありますね。 さて、時間ループものには他にどんな作品があるんでしょうか? それを知ることができるのが浅羽通明『時間ループ物語論 成長しない時代を生きる』(洋泉社)という本。 これには感心させられました。浅羽さん、よくこんだけ読んだなと。 いきなり恒川光太郎「秋の牢獄」というマイナーな作品の紹介からはじまり、先に紹介した「倦怠の檻」や『リプレイ』はもちろん、『ターン』『リセット』『七回死んだ男』『All You Need Is Kill』「しばし天の祝福より遠ざかり」「逃がしどめ」「秒読み」「第十時ラウンド」などの小説(作者名がすべて言えたら偉い)、マンガでは『はるかリフレイン』『永遠の夜に向かって』「金曜の夜の集会」、映像作品では、『恋はデジャ・ヴ』『ミッション:8ミニッツ』『未来の想い出』『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『涼宮ハルヒの憂鬱/エンドレス・エイト』『魔法少女まどか☆マギカ』『ひぐらしのなく頃に』……などなど、思いつく限りのあらゆる作品が取り上げられていて、時間ループもののカタログとして楽しめます。僕も知らなかった作品も何作も。 ついには『涼宮ハルヒの憂鬱』の二次創作作品まで取り上げます! 突然、拙著『トンデモ本? 違う、SFだ!』(洋泉社)からの引用が出てきたのにもびっくりしましたが。 その膨大なデータを基に論を展開していくんですが、他の評論家の解釈を批判してたり、『「時間ループ物語論」論』にもなってます。 さらに時間ループもののルーツをさかのぼるんですが、落語の夢オチと時間ループものの類似というのは、ちょっと意表を突かれました。確かに、ループの外にいる人から見れば、主人公が自分の体験を話しても、「そりゃ夢だろ」としか思えませんからね。あと、日本各地に伝わる浦島太郎伝説を紹介した後で、急に『銀河鉄道999』の話になるあたりはエキサイティング。 もちろん、評論だから必ずしもこの解釈で正解ではないんでしょうが、面白いのは確かです。この手の話が好きな人にはおすすめ。
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《目次》 ◇第一講:オリエンテーション 恒川光太郎「秋の牢獄」精読――ユートピアに囚われて ◇第二講:時間ループ物語とは何か(1) 未来喪失という拷問――「エンドレスエイト」ほか ◇第三講:時間ループ物語とは何か(2) 猶予された時間の生き方――『恋はデジャ・ヴ』ほか ...
《目次》 ◇第一講:オリエンテーション 恒川光太郎「秋の牢獄」精読――ユートピアに囚われて ◇第二講:時間ループ物語とは何か(1) 未来喪失という拷問――「エンドレスエイト」ほか ◇第三講:時間ループ物語とは何か(2) 猶予された時間の生き方――『恋はデジャ・ヴ』ほか ◇第四講:時間ループ物語とは何か(3) ゲーム的試行錯誤の世界――『ひぐらしが鳴く頃に』ほか ◇第五講:時間ループ物語とは何か(4) 悦楽の時間よ、永遠に――『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』ほか ◇第六講:世代対立の不毛を超えて コンテンツ批評の時間ループ物語論へ物申す――『不可能性の時代』ほか ◇第七講:ループものの起源をさかのぼる(1) 人生時間の伸縮――『ファウスト』、輪廻転生、さまよえるユダヤ人ほか ◇第八講:ループものの起源をさかのぼる(2) 予知と夢落ち――『フラッシュ・フォワード』「鼠穴」「芝浜」「夢金」ほか ◇第九講:ループものの起源をさかのぼる(3) 物語の迷宮と時間の近代化――「デス博士の島のその他の物語」「毒入りチョコレート事件」「時間の比較社会学」ほか ◇第十講:ループものの起源をさかのぼる(4) 浦島太郎伝説とユートピアの陥穽――『母系社会日本の起源』『銀河鉄道999』『夢十夜』ほか ◇第十一講:大先達に学ぶサバイバル法 高等遊民の愉悦と不安――『三四郎』『それから』『一握の砂』ほか ◇第十二講:ループの時代を超えてゆくために 平成ユートピアの囚われ人――『けいおん!』『門』『上海バンスキング』ほか ・ ものがたりの力を試す――あとがきに代えて
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浦島太郎フォーマットが、実はまともな奴が多い(さう言へば安倍晴明も竜宮で修行してゐたのであった)といふか、アレは最下層だったといふ指摘は、はー。 生活系と日常系のメルクマール(目印)に、犬と猫があると言ふのは、角川版の『あずまんが大王』と『よつばと!』以降の小学館版での『あずま...
浦島太郎フォーマットが、実はまともな奴が多い(さう言へば安倍晴明も竜宮で修行してゐたのであった)といふか、アレは最下層だったといふ指摘は、はー。 生活系と日常系のメルクマール(目印)に、犬と猫があると言ふのは、角川版の『あずまんが大王』と『よつばと!』以降の小学館版での『あずまんが大王』の加筆部分とか、その『日常』での犬猫の描写とか、でもけっこう行けると思ふ。
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