あきらめないで！関節リウマチ 入門から生物学的製剤による最新の治療まで

松野博明【著】

• 販売会社／発売会社: 日本医学出版
• 発売年月日: 2012/10/01
• JAN: 9784902266719

商品レビュー

2024/07/24

著者は開業医の松野博明氏です。
本書はリウマチについて患者向けにまとめたものです。

松野氏は大学を卒業後、整形外科でキャリアを積み、関節リウマチを専門としました。
リウマチは「免疫細胞が関節内の滑膜を攻撃する自己免疫疾患」です。
痛みや微熱があり、関節が変形して日常生活が困難となります。
遺伝的要因が強く、後天的にウイルスなどへの過剰反応が原因と推察されています。
診断は手足のこわばりなどの「症状」や、血液内の炎症性物質の量などから総合的に判断されます。
治療はこれまでNSAIDsと呼ばれる鎮痛薬やステロイドが中心でしたが、対症療法のために慢性化して副作用にも悩まされてきました。
そのため近年では、免疫調整に働く抗リウマチ薬（DMARD)や、炎症反応を誘発するサイトカインを妨害する生物学的製剤なども使われています。
これらは副作用を完全に除去することはできませんが、ターゲットが絞り込まれるために効果を期待できます。
ただし薬価が高いために医療財政を圧迫するなど悩ましい問題もあるようです。
投薬以外にも代替医療や日常生活の心得などについて幅広く言及していました。

本書はこのように関節リウマチの概要についてコンパクトにまとめられていました。
内容は専門分野にも踏み込んでいますが、前後にわかりやすい解説をつけたり、イラストが挿入されていて、わかりやすく伝えたいという著者の熱意を感じさせるものでした。
投薬治療については副作用などについても言及し、妊娠時の治療の受け方、助成制度などについても触れられていました。
患者はもちろん、専門家が読んでも参考になると思います。