北斗 ある殺人者の回心

石田衣良【著】

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2012/10/26
• JAN: 9784087714647

商品レビュー

2023/10/04

両親に抱きしめられたり、愛していると言われることなく、ずっと虐待をうけてきた端爪北斗。父が亡くなり、次は母から虐待をせまられ、児童福祉司に救いを求める。そして出会った里親にやっと無条件の愛を与えられる。でも幸せは長く続かず、殺人を犯してしまう。 今までも虐待を題材にした本は何冊か読んできたけど、これは酷い。中盤までは重く辛く読むのもしんどかったけど、裁判が始まってからは、引き込まれるように読了。この作品もまた死刑制度の是非について考えさせられる。

2019/11/04

石田衣良からしばらく離れていたけれど、人から勧められ、しかも衣良初心者からのモーレツお勧めにあい読んでみることに。

この作家さんはストーリーテーラーだということに改めて気づくと共に読みやすい上に泣かせ上手だし、社会派でもあり人情にも熱く、ビジュアルも狙ってきてるということ。久々にやられた。

勧められた点は泣けるということだったけど、法廷モノとしても面白かった。

2019/05/21

豊かであろうがなかろうが、人が生きている場所には苦しみがある。それが世界の公平な見方というものではないだろうか。 (P237)
反省すれば自分の罪が軽くなるという法の働き自体が、北斗には詐欺のように思える。絶対の一回性を持つ人の命を奪っておいて、取り返しがつかないことをしたといって反省すれば、自分の一回性を守ることができる。それは罪を犯した上で、ずるずると生き残ってしまった実行犯に甘過ぎるのではないだろうか。 (P326)