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江戸の読書会 会読の思想史 平凡社選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2012/10/17 |
JAN | 9784582842326 |
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江戸の読書会
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
前田先生と言えばこの本。大学時代、先生に頼み込んで毎週ゼミを開いていただいたこともあって思い入れの深い本である。今も学友とともに『平成の読書会』と銘打って読書会を開催している。 本書はキーワードである「会読」をテーマとして話が展開される。厳格な身分社会である近世江戸においては公...
前田先生と言えばこの本。大学時代、先生に頼み込んで毎週ゼミを開いていただいたこともあって思い入れの深い本である。今も学友とともに『平成の読書会』と銘打って読書会を開催している。 本書はキーワードである「会読」をテーマとして話が展開される。厳格な身分社会である近世江戸においては公共空間の余地が少なかったと一般的には考えられているが、実は近世江戸の学校=「藩校」の中にはそういった公共空間が現出していたとし、そこで行われていた「会読」という学習方法は年齢や身分よりも学業の優劣が重視されており、一つのテキストをもとにして討論や議論をする「会読」の空間が幕末期の政治的な議論の場に変化していったとする前田先生の図式に、その読書会の場にいた誰もが魅了されたことを覚えている。 私の考え方を根本的に変えた本であるので、行きつ戻りつしながら批判的に継承していきたい、そんな大切な一冊である。
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江戸時代には、お上の命には従わなければならない一方で、科挙のような勉強しなけりゃ出世できない、というものもないので、勉学はまさに自主的な教養だったのでしょう。では、なぜなぜ一人で読むのではなく会読だったのか。会読は、素読、講釈を経た上級学問であり、また相互コミュニケーション性、対...
江戸時代には、お上の命には従わなければならない一方で、科挙のような勉強しなけりゃ出世できない、というものもないので、勉学はまさに自主的な教養だったのでしょう。では、なぜなぜ一人で読むのではなく会読だったのか。会読は、素読、講釈を経た上級学問であり、また相互コミュニケーション性、対等性、結社性の三つの要素を持つ。この三要素は、やはりお上にとってはあまり望ましくないことなのだろう。だから今の学問にはそれがないのだろう。 現代の学問は、科挙までいかないにしても、自分が知識をためて出世する、というものになってしまっていて、会読は一旦滅ぶのだけど、一方で読書会的なものもあちこちにあります。ここに歴史的背景がない、断ち切れている、という指摘。誰でも勝手気ままに学べる現代は幸せではありますが、江戸の会読のような高揚感を味わってみたいな、歴史そのものも学ばなければいけないな、と思わされるのです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「NEXT READING」 (3つの学習方法)……①素読:ただ声をあげて文字のみを読み習い、暗誦すること、②講釈:先生が生徒の前で一節ずつを講解して聴かせる、③会読:一室に集まり、所定の章句を中心として互いに問題を持ち出したり、意見を闘わせたりして集団研究をする共同学習の方法。 (なぜ会読は始まったのでしょうか?)……五代徳川綱吉将軍の時代の「生類憐みの令」のように人間よりも動物の命のほうが大事だとは、なんと馬鹿げた、道理に反することだと思っても、それを口に出すことはできず将軍の命であるかぎり、従わなくてはならなかった、会読の場では沈黙せずに口を開いて討論することを勧めていた。 (読書会を続けるコツは?)……学問が立身出世に直結、お互いに「道理」を探求して対等に討論することも、同志の意識をもつこともなくなり、自分一人の立身出世を遂げるために、競争相手を出し抜く秘かな読書に励むようになり、会読は衰退した。
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