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結婚の条件 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 1981/07/01 |
JAN | 9784087504354 |
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結婚の条件
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『大阪の御堂筋は、大阪の恋人たちにとって二つとないような理想的な散歩道路なのではあるまいか。 北は梅田から、南は心斎橋や道頓堀に続いていて、途中で、中之島公園に立ち寄るのも悪くない。もし、恋人同士時代を大阪で過ごしながら、御堂筋の厄介に一度もならなかったという人がいたら、嘘をついているか、でなかったらお気の毒にと、といってやりたいぐらいのものであろう』の書き出しで始まる。 主人公の水戸まひるは、その御堂筋にあるK科学工業株式会社に勤めている。理想的な散歩道路を毎日往復しながら、まだたった一人の恋人すらもなかった。 両親を亡くしたまひるは、東京で姉夫婦と同居していたが義兄が大阪に転勤。妹一人東京に放って置くわけにはいかないと姉が言いだし、義兄がまひるの会社に掛け合って特別に大阪へ転勤させてもらい、姉夫婦の社宅に居候してOL生活を送っている。 結婚退職する同僚の送別会で、結婚の条件が話題になった。まひるは、姉夫婦を理想的な夫婦だと信じていて結婚するなら義兄のような男だと思っていたし、姉のような奥さんになりたいとも思っていた。みんなは、「月給3万円以上。お姑さんと住むのはいや。テレビと電気冷蔵庫は欲しい。自動車を持っていて運転出来る人。」と、みんな、調子に乗って喋った。が、まひるはそれ以上に大事なものがありそうな気がしていっしんに考えた。 『(愛情、誠実、勇気。この三つこそ、あたしの条件なんだわ。相手に要求するだけでなしに、あたしも、その持ち主にならなければ) まひるは、晴れ晴れとした顔になった。恋人をつくり、結婚生活に入るために、一つの指針を得たような気がした』と源氏鶏太は書く。 結婚の条件の指針を待っていたかのように、義兄の会社の部下三好忠義とまひるの同僚矢貝修治から結婚を申し込まれる。 まひるから結婚の立候補をしたライバルがいると聞かされた三好と矢貝は、三人で会いまひるの前でフェアに戦うことを約束する。 そんな時に、理想の結婚をしていたと思っていた義兄に恋人がいたのだ。友人の未亡人青山英子の悩みを聞いているうちに愛情関係が芽生えてきたらしいのだが……。 小説は、義兄と青山との愛情がどこまで発展するのか。二人の青年を同じぐらい好ましく思っているまひるが、三好と矢貝のどちらを選択するのかというストーリで進行していくが、そのおもしろさに一気に読んでしまった。 本作品は、1962年1月から1963年3月まで「婦人生活」に連載。読んでいて、感覚が古いと感じるがその古さがまた懐かしい。この年、「キューポラのある町」が上映されているが、今観ると同じ様な懐かしさと感動を憶えるだろうと思う。 現在からみると、まひるの生き方は古い。いや、彼女に結婚を申し込んだ二人の青年。義兄や未亡人の青山はもっと感覚が古い。しかし、彼や彼女は悩みながらも自分で必死に考えて生きている。 自分の頭で考えたまひるや彼や彼女達が、新しい生き方を模索しはじめる。 男社会に差別され続けてきた女性が、資本に搾取され続けてきた労働者が、いわれもなく差別され続けてきた未解放部落が。それぞれの現場でいっせいに立ち上がり人権を奪い返す戦いが始まったのだ。 その戦いは、まだ現在でも継続中だと私は思うのだが。
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