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病気と日本文学 近現代文学講義 新書y
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 洋泉社 |
発売年月日 | 2012/09/07 |
JAN | 9784800300096 |
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病気と日本文学
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病気と日本文学
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病気というのはつまり「実存をおびやかす内的要因」である そのように定義するならば あらゆる病気というものは、不安の源泉にほかならないだろう …逆に、とめどなく溢れ出す不安こそ病気の正体である、などという そんな理屈も成り立ってしまう(病は気から!) いずれにしても、そういった人間...
病気というのはつまり「実存をおびやかす内的要因」である そのように定義するならば あらゆる病気というものは、不安の源泉にほかならないだろう …逆に、とめどなく溢れ出す不安こそ病気の正体である、などという そんな理屈も成り立ってしまう(病は気から!) いずれにしても、そういった人間の不安を慰めるために 物語というものはあるわけで そういう意味じゃ、文学を病気に絡めて語ることが、それ自体 ひとつの批評たりうるものといえるだろう しかし問題はそう単純ではないのだった 日本の近代文学は、「戯作調」の物語を否定して ありのままの現実を写生するというところから出発した と、いうことは? 文学の定義において、不安というものは あるがまま放置されなくてはならない 結核に冒された中江兆民は、妻との絆を物語化することで 残りわずかな自らの生を慰撫しようとしたのだが 正岡子規がこれに強く反発したことは、そう考えると非常に納得がいく それでまあ、子規が何を書いたかといえば 目前の死をダシにしてわがままばかり言ってる自分の 幼児的なぶざまさをあるがままに暴露してたりするんだけど それで日本の純文学の源流を見て取るには、十分なものだろう しかし、さらにそれから80年ほどあって 戦後の医療発達により、死を遠ざけた日本人は より根深い不安に縛りつけられていくこととなった 柄谷行人が「意味という病」において炙り出そうとしたことは この戦後民主主義を謳歌する現代日本で 生きる意味が見出しがたいことの不安と向き合い これをあるがままに受け入れることの必要性だろう しかし現実には、それに耐え切れるほど人は強くなくて 結局は逃避するか そうでなきゃ闇雲に行動へと突き進むか 二つに一つしかないのであった それこそが、80年代日本の精神的な敗北であり バブル経済の破裂へと導いた観念的な妖怪の正体であり 福田和也をはじめ、90年代ニッポンの思想家たちが なんとか祓い落とそうとした病なんだろう
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子規の結核、漱石の胃潰瘍と神経衰弱、芥川の神経症と自殺、北條民雄のハンセン氏病、川端の創作した架空の病、武田泰淳の描いた精神病院、柄谷の論じた近代という病―。身体に、そして精神に密接に結びついた様々な「病」。斬新な切り口から、文学史、近現代史、そして文学と批評の本質が鮮やかに浮か...
子規の結核、漱石の胃潰瘍と神経衰弱、芥川の神経症と自殺、北條民雄のハンセン氏病、川端の創作した架空の病、武田泰淳の描いた精神病院、柄谷の論じた近代という病―。身体に、そして精神に密接に結びついた様々な「病」。斬新な切り口から、文学史、近現代史、そして文学と批評の本質が鮮やかに浮かび上がる。著者の慶應義塾大学での迫真の講義を再構成して収録。
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