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パリ解放1944-49
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2012/08/27 |
JAN | 9784560082287 |
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パリ解放1944-49
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商品レビュー
3.8
4件のお客様レビュー
第二次大戦戦中から冷戦に至る時期のパリを政治、文化、市民生活など様々な点から描写した本。 パリ解放後のパリ市内の様子、対独協力の実際とその顛末、戦後政治の主導権争い、芸術家・哲学者の活動・交流etc.内容の濃さと詳細さに圧倒される。 個人的に、対独協力の実際や、共産党・共産主...
第二次大戦戦中から冷戦に至る時期のパリを政治、文化、市民生活など様々な点から描写した本。 パリ解放後のパリ市内の様子、対独協力の実際とその顛末、戦後政治の主導権争い、芸術家・哲学者の活動・交流etc.内容の濃さと詳細さに圧倒される。 個人的に、対独協力の実際や、共産党・共産主義の動向は、これまであまり考えたこともなかっただけに、勉強になった。
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本書はパリ解放前後におけるフランスやフランス人をテーマとしたノンフィクションであり、ナチスドイツの猛攻を受けたフランスが陥落する寸前からドゴールの死去までの期間のフランスの政治、経済、文化を多角的、かつ重層的に描いており、同国の複雑さを理解する助けとなる一冊です。 前置きはこの...
本書はパリ解放前後におけるフランスやフランス人をテーマとしたノンフィクションであり、ナチスドイツの猛攻を受けたフランスが陥落する寸前からドゴールの死去までの期間のフランスの政治、経済、文化を多角的、かつ重層的に描いており、同国の複雑さを理解する助けとなる一冊です。 前置きはこの位にして、早速ですが以下に本書の要所を抜粋。 ヴィシー政権下におけるナチスドイツへの積極的な協力 (ナチスさえも求めなかったユダヤ人の子供の強制移送等) パリ解放後の粛清 (裁判にかけられ、無罪となっても安心できない。本書は正確な所は定かではないと断りを入れつつも、無罪判決を受けたヴィシー派が拉致され、その後、ドイツ爆撃に参加した爆撃機の爆弾倉から爆弾とともに「友人」の元へ送り届けられたエピソードを紹介している) 国内レジスタンスやフランス共産党、ドゴール率いる自由フランスの主導権争い (ドゴールはこれに加え、戦後社会におけるフランスのアメリカ、イギリスへの立場の低下を強く懸念。その結果、ソ連に接近し、両国へ対抗しようとした) ドゴールの政権獲得&政界からの引退とその後の共産党も参加した第4共和制政権の確立 (当時フランス国内は一日あたり約1300kcalの食料配給しか得られない悲惨な状況であったこと。しかし、特権階級は豊かな生活を送っていたこと。また、ナチスが引き起こした惨状が知られるにつれ、共産党へのフランス国民の支持と期待は強まっていった) その後、政権から追放されたフランス共産党はスターリンの対西欧工作の為、アメリカ主導のヨーロッパ復興計画、マーシャルプランを妨害するが、政権の徹底した鎮圧と工作の失敗により、ほんの少し前まで持っていたフランス国民からの強固な支持を失う結果となった。 そして第4共和政はアルジェリア危機を切っ掛けとしたドゴールの無血クーデータによって崩壊。 ドゴールは議会軽視の第5共和政を開始し、この体制は現在も続いている。 パリ解放後の裁判と粛清の公平さへの疑問。 そして、占領下で生き残るために何らかの形でナチスへ協力しなければいけなかったという過去。 ヴィシー自ら積極的に行ったユダヤ人迫害。 戦後、切迫した状況下における豊かなアメリカ人への羨望、敵意。 ソ連軍のパリ侵攻への強い恐怖や共産勢力との内戦の危機。 (残念ながら)元々、国家や社会は様々な矛盾や不公平さを内包しているものですが、それが占領によって更に悪化し、戦後もフランスはその傷跡に長く苦しめられました。 しかし、その様な中でもファッションや芸術で世界を魅了し続けるフランスの根強いソフトパワーの強さを見事に描き切った良著です。 著者の2人はこれまでベルリン陥落、ノルマンディー上陸作戦、スペイン内戦、スターリングラード攻防戦など第2次世界大戦をテーマとした様々なノンフィクションを世に出して高い評価を受けており、本書においてもその力量は思う存分発揮されています。 過去があるから現在があり、未来もある。 本書はフランスの過去を知るだけに留まらず、同じく第2次世界大戦の敗者となった日本と同国を比較することにより、日本人が自国を理解する際の助けとなるのではないでしょうか。
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----- ひとたび喝采が消え去ったあとも、自らの解放者を愛し続ける国はほとんどない。自分たちの国家と政治制度とを、実質的にゼロから立てなおすという気の重くなる現実と向き合わなければならないのである。かたわらでは、私たちが今日「政権交代」と呼ぶ混乱期に乗じて、ヤミ商人とギャングとが跋扈している。このことは、人びとが独裁政権下だろうと的の占領下だろうと、道徳を犠牲にし、怯懦によって生き延びなければならなかった屈辱を忘れたがっているときに、集団的な恥の感覚をいっそう強める。つまり解放とは、なににも増して扱いにくい借金を作り出す。それが満足のいく形で全額返済されることは決してない。自負心とはとても傷つきやすい花なのだ。 アントニー・ピーヴァー、アーテミス・クーパー(北代美和子訳)『パリ解放 1944ー49 』白水社、2012年、9頁。 ----- A・ビーヴァー、A・クーパー『パリ解放 1944-49』白水社、読了。ナチ占領から戦後復興までのフランス現代史が舞台。本書は米ソ二大国に翻弄されながら、戦勝国として歩み出すまでを描く歴史ノンフィクションの傑作。一筋縄ではいかない権力闘争の末に“葦”のように第四共和政は確立される。 ドゴールの自由フランス軍ですら寄せ集め。共和派、王党派、共産主義者、反ユダヤ主義者……一枚岩ではない。対して、レジスタンスの主導権を取った共産党は、スターリンから見放され、社会党と泥仕合である。 著者は混乱期のパリを、様々な階層の人々の手記や肉声から、その重奏な歴史を立体的に浮かび上がらせる。知識人や芸術家の動向が変奏曲のように挿入され、復興期フランスの政治、経済、文化がいきいきと甦る。 売り出し中のサルトルがスターリンの無謬性を信じていたり、米軍と騙し合いを繰り返すパリの芸術家たち。戦勝国なのに米軍はパリでも「進駐軍」だった。苦渋に満ちたフランスの歴史は、戦後日本の苦渋を新たな視座から照射する。 久しぶりに500頁近い戦史ノンフィクションを読んだが、非常に面白く、頁をめくる手が止まらなかった。戦後史のウラを証言からたどる好著。
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