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明石海人歌集 岩波文庫
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明石海人歌集 岩波文庫

明石海人【著】, 村井紀【編】

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明石海人歌集 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2012/07/20
JAN 9784003119013

明石海人歌集

¥660

商品レビュー

4.3

5件のお客様レビュー

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2021/05/14

一部『白描』、二部『翳(一)(二)』それと白描以後。 癩病のすすむ苦しみのなか、とぎすまされてゆく生の手触り、隣室のしずかな死などを歌いつづけた、明石海人の魂の片鱗に触れられる一冊。 (「海人遺稿」という本もおすすめ、詩や日記など) 癩病に三大受難がある。病の宣告、失明、気管切...

一部『白描』、二部『翳(一)(二)』それと白描以後。 癩病のすすむ苦しみのなか、とぎすまされてゆく生の手触り、隣室のしずかな死などを歌いつづけた、明石海人の魂の片鱗に触れられる一冊。 (「海人遺稿」という本もおすすめ、詩や日記など) 癩病に三大受難がある。病の宣告、失明、気管切開。 日に日にすこしずつ世界を切り取られ、奪われていく。そんななかで歌を読むことが、いったいどうしてできたのか。ぼくにはとても真似できるとは思えない。 「まともなる息はかよはぬ明暮を命は悲し死にたくもなし」 (「気管切開」) これまで何度となく読み返してきたように、これからも何度も開くことになるだろう。 「いつかもう人間ならぬ我になり花におぼろな影踏み歩く」 (「春泥」)

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2015/11/17

北條民雄とともにハンセン病文学の双璧をなす明石海人の歌集。発病、長女の死、失明、気管切開と続く極限状況のなか、研ぎ澄まされた感覚と暗いユーモアさえ漂わせる諦観が、比類のない命の絶唱を紡いでいく。「深海に生きる魚族のやうに、自らが燃えなければ何処にも光はない」。編者の村井紀は、生前...

北條民雄とともにハンセン病文学の双璧をなす明石海人の歌集。発病、長女の死、失明、気管切開と続く極限状況のなか、研ぎ澄まされた感覚と暗いユーモアさえ漂わせる諦観が、比類のない命の絶唱を紡いでいく。「深海に生きる魚族のやうに、自らが燃えなければ何処にも光はない」。編者の村井紀は、生前刊行の『白描』を中心に、遺稿をも丹念に読み解きながら、〝癩歌人〟に国家が被せた仮面とその奥で息を潜める無名の魂の戦慄を見事に切り出している。

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2014/05/01

明石海人、その名はもうあまり一般的には聞かれるものではないでしょう。この歌集はひとりの人間が生きた証であり、そういうものが残るというのは、やはり、本の力ではないか。 ひとりの男のひとが、普通に生きて職もある普通のごく普通の男のひとが、ある日、突然、医者から絶望的な告知を受ける。 ...

明石海人、その名はもうあまり一般的には聞かれるものではないでしょう。この歌集はひとりの人間が生きた証であり、そういうものが残るというのは、やはり、本の力ではないか。 ひとりの男のひとが、普通に生きて職もある普通のごく普通の男のひとが、ある日、突然、医者から絶望的な告知を受ける。 「看護婦のなぐさめ言も聞きあへぬいかりにも似るこの侘しさを」 「妻は母に母は父に言ふわが病襖へだててその声を聞く」 この時代の政策通り、彼も隔離政策を受けます。故郷を追われ、名は変わり、全てを失ってしまう。 「さらばとてむづかる吾子をあやしつつつくる笑顔に妻を泣かしむ」 そして辿り着いたのは、療養所。その冷たさと悲しさと全てを失った絶望はとてもではないが筆舌に尽くし難く、しんしんと骨の髄まで響く絶望を感じるのです。 「洗面器の昇天水は紅褪せてさかしまにうつれる三角のそら」 しかしそこから、明石海人の歌世界は自分を離れ、より遠くへより深くへ。刻々と迫る死の影を感じさせるのに胸を締め付けられる。 「しまらくを足音はみだれ亡骸の運び去られてまた音もなし」 とても響く。明石海人の詩はとても響く。それはわたしのインドのルーツへと繋がっていくのです。これを読むと心が整い、前を向こうという気持ちにもなる。ひとりのひとが生きた証というものが、時代を経てわたしの手元にとどき、前を向かせてくれるというのは、とてもとても凄いことだ。

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