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ソシュールを読む 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2012/07/12 |
JAN | 9784062921206 |
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ソシュールを読む
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※このレビューにはネタバレを含みます
『ソシュールを読む』は、現代言語学の父と呼ばれるフェルディナン・ド・ソシュールの思想を、画期的な視点から読み解いた重要な著作です。丸山圭三郎は、従来のソシュール解釈を大きく転換させ、その思想の革命的な意義を鮮やかに描き出しています。 本書の特徴は、ソシュールの言語理論を単なる言語学の枠組みとしてではなく、人間の存在や認識の本質に関わる根源的な思想として読み解いている点にあります。例えば、ソシュールの有名な「言語記号の恣意性」という概念。これは単に「言葉と物の関係は偶然的だ」という表面的な意味ではなく、人間が世界を認識する仕方そのものを根本から問い直すものだと丸山は指摘します。 具体的に見てみましょう。私たちは普段、「りんご」という言葉は赤い丸い果物を「表している」と考えがちです。しかし丸山によれば、ソシュールの真の洞察は、言葉も物も、それ自体では何の意味も持たない「差異の束」に過ぎないという点にありました。「りんご」という言葉が意味を持つのは、「なし」でも「もも」でもない、という差異のシステムの中でのことなのです。同様に、物としての「りんご」も、他の果物との差異の中でしか認識できません。 この解釈は、従来の言語観を根本から覆すものでした。言語は現実を「写し取る」道具ではなく、むしろ現実そのものを分節し、作り出していく創造的な力なのです。丸山はこの洞察を「言語の実体化」への批判として展開していきます。私たちは往々にして、言葉があたかも実体を持つかのように考えがちです。しかし実際には、言語も現実も、すべては関係性の網の目の中でしか存在しえないのです。 本書の魅力は、この難解な理論を、具体的な例を通じて分かりやすく説明している点にあります。例えば、虹の色の区分が言語によって異なることや、日本語の「青」が英語の「blue」と完全には重ならないことなど、身近な例を通じて、言語が現実をどのように分節しているかを明らかにしていきます。 特に印象的なのは、丸山が「ラング」(言語体系)と「パロール」(個別の言語行為)の関係を、創造的な相互作用として描き出している点です。従来の解釈では、ラングが固定的な規則として個人のパロールを制約すると考えられがちでした。しかし丸山は、パロールこそがラングを絶えず更新し、創造していく力を持っていると指摘します。これは、言語を通じた文化や社会の動態的な理解につながる重要な視点です。 本書は言語学や記号論の専門書でありながら、人間の認識や文化の本質に関わる根源的な問いを投げかけています。それは例えば、私たちは本当に「客観的な現実」を見ているのか、言語は単なるコミュニケーションの道具なのか、といった問いです。このような問いは、今日のメディアやコミュニケーションの問題を考える上でも、重要な示唆を与えてくれます。 時として抽象的な議論が展開されることもありますが、それは扱っているテーマの本質的な深さを考えれば当然かもしれません。言語や思考、文化に関心を持つ読者にとって、本書は新たな視野を開いてくれる知的冒険の書となるはずです。
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丸山圭三郎によるソシュール読解。ソシュールを勉強したわけでもないし、丸山の哲学についてもズブの素人だが、何となくこの本はソシュールを読むことによって丸山が自分の哲学を披露している、そういう印象だった。ソシュールは自分で書いた本を残してないので、その思想については講義録や未発表の手...
丸山圭三郎によるソシュール読解。ソシュールを勉強したわけでもないし、丸山の哲学についてもズブの素人だが、何となくこの本はソシュールを読むことによって丸山が自分の哲学を披露している、そういう印象だった。ソシュールは自分で書いた本を残してないので、その思想については講義録や未発表の手稿によって推し量るしかなく、研究者それぞれによって違うソシュールが現れてくるのは当たり前なのかも知れない。原本は1983年刊行。どこかで読み易い最新のソシュール論を見つけるべきか。
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すごい。 バルトやボードリヤールの著作を事前に触れていた身として、ソシュールの主張する事柄のほとんどが二十世紀哲学、思想、文化、芸術等々へ浸透している実態に衝撃を受けた。 言葉の実質性や概念の絶対性に信頼を置くロゴス中心主義のヨーロッパで、ソシュールが唱えた言葉の根本的曖昧性、体...
すごい。 バルトやボードリヤールの著作を事前に触れていた身として、ソシュールの主張する事柄のほとんどが二十世紀哲学、思想、文化、芸術等々へ浸透している実態に衝撃を受けた。 言葉の実質性や概念の絶対性に信頼を置くロゴス中心主義のヨーロッパで、ソシュールが唱えた言葉の根本的曖昧性、体系のうちに差異をもとにして生み出されるのが価値。 まさに視点の変化でもって知の枠組みに新基軸を打ち立てたソシュールに拍手を。 ラングという言語の社会的性質を認めた上で、それをどう撹乱し、新たな思想やアイディアを生み出していくのか。
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