世界一美しい団地図鑑 エクスナレッジムック

テクノロジー・環境

• 販売会社／発売会社: エクスナレッジ
• 発売年月日: 2012/07/03
• JAN: 9784767813950

商品レビュー

2024/10/03

“世界一美しい～”というタイトルの本が一時流行った。
本書もそのブームに乗っかったと見えるが、古い時代に建てられた既に取壊されている団地も掲載されているせいもあり、ページの半分以上白黒写真である。

さらに文字数が多く“美しい写真集”を期待した人には合わないのではと余計な心配をしてしまう。
しかし裏を返せば解説が丁寧で資料としては大変優良。タイトルのおかげで、かえって多くの人が手に取ったかもしれない。

私はといえばやはり東雲キャナルコートの美しい表紙と“世界一美しい～”という流行りのタイトルに魅かれ、書店で衝動買いしたたちであるが、結論素晴らしかった。図鑑なのに物語を読んでいる感覚であった。

80年近い時の中で団地が歩んできた軌跡。
（本書が扱う団地とは、公的機関が庶民へ供給した住宅群である。）

1927年の同潤会代官山アパートから始まり、2003年公団最後の東雲キャナルコートKODANまで、団地の歴史に名を遺す傑作団地18選の紹介。

各団地の写真はもちろん、団地全体の配置図、当時の時代背景や建築に関する詳細な解説がなされる。

寝食分離のDKタイプの間取りをはじめ、今でこそ当り前に民間住宅で見られるものの殆どが団地発祥のようである。
今となっては民間住宅に押され団地は古い建物という印象だが、当時は設備充実、各戸に浴室と水洗便所があり、日照確保、セキュリティやプライバシーに配慮された、最先端の住居だったのだ。

ホーロー浴槽のサイズを決めるにあたり色々な体格の職員が試した、というエピソード一つとっても作り手の情熱が感じられた。住まう人へ少しでも快適な生活を提供したいという使命感とサービス精神に溢れている。
材料も予算も限られた戦後直ぐの高輪アパートでは、庇をなくすなどの節約が涙ぐましい。

関東大震災、戦争、そして敗戦。高度経済成長による都心への人口集中。幾度の住宅不足。土地不足。

セレブの住宅ともてはやされたかと思えば、時移ろえば“高遠狭”の烙印を押される。
団地は郊外へと移り、時に山へも登り、都心へ回帰し高層化する。

急速に変わりゆく時代の中で発生する数多の課題に挑み、輝かしい賞を受賞(多摩ニュータウン向陽台で都市景観大賞、幕張ベイタウンでグッドデザイン賞)、そしてUR都市機構の誕生と共に、最後の団地『東雲キャナルコートKODAN』で飾った有終の美。

住宅不足の時代は終わった。
公団に従事した数多の建築士や職員の創意工夫と努力と情熱のおかげだ。

公団が新しい住宅を建てることはもうないが、住まう人に快適な暮らしを提供したいという意志は、現URが、そして民間にきっと受け継がれていると信じたい。

2021/02/02

”団地”と聞いてどういうイメージを浮かべますか。
・昔の日本を支えてきた団地、
・試行錯誤をくり返して進化した団地、
・最近になって建てられたデザイナーズの団地など、
歴史を楽しむも、建築を楽しむも良し。写真だけでも◎
これを読んだ後、団地の見る目が変わるかも！
映像学科1年

2019/06/28

さまざまな建築物をこの1冊の本で見ることが出来ました。材質とデザインの整理が丁寧に書かれていて、写真も多いので飽きずに見ることができました。
細かい所まで説明が書いてありとても分かりやすく、建築物について学ぶことが出来ました。