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鉄のあけぼの(下)
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鉄のあけぼの(下)

黒木亮【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 毎日新聞社
発売年月日 2012/06/27
JAN 9784620107844

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2019/01/03

2012.12記。 黒木亮氏の最新作は、戦後間もない時期の川崎製鉄社長、西山弥太郎が主人公。爆撃を受けて廃墟となった千葉の埋め立て地に世界最新鋭の製鉄所を作る夢を描き、徹底的な執念でそれを実現していく。 西山社長の類まれな人間力もさることながら、著者は相変わらず実務上の課題を...

2012.12記。 黒木亮氏の最新作は、戦後間もない時期の川崎製鉄社長、西山弥太郎が主人公。爆撃を受けて廃墟となった千葉の埋め立て地に世界最新鋭の製鉄所を作る夢を描き、徹底的な執念でそれを実現していく。 西山社長の類まれな人間力もさることながら、著者は相変わらず実務上の課題を一つずつ描く。水の確保、漁業補償、自治体との協議・・・ そんな中、金融小説の第一人者である黒木氏が一番力を入れているのはやはり世界銀行との融資交渉。市中行による保証だの財務制限条項だのを巡る厳しい条件に手に汗握る一方、こんなの専門知識のある人以外興味あるのかな?とも思うが、ふと気が付くと自分も、高炉内の成分の配合で苦労する話など門外漢の内容について結構面白く読めてしまっているのであった。サラリーマン仕事の醍醐味を伝えるセンスはさすが。 印象的なのは、最新の技術を学ぶために米国の製鉄所に向かう若手技術者に西山社長が伝える「飛行機が落ちても帰ってこなければいかんぞ」という言葉。失敗すれば国さえ傾くプロジェクトで、米国から得る知見はまさに生命線だったのだろう。文字通り生きて戻れる保証もなかった遣唐使の時代から、日本はやはり多くのことを外国から教えてもらって今に至ったことを忘れてはならないと感じた。 読めばわかるとおり、西山社長のやり方は今日的なマネジメントとしては議論もあるのかもしれない。それでも、日本全体が製鉄所さながらに熱を発していた時代のがむしゃらな前進力を今こそ取り戻そう、というのが著者のメッセージではないだろうか。

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2015/08/16

2015/08/16読了 川崎製鉄(現JEEスチール)の創設者、西山弥太郎の評伝である。 下巻は、高炉の調子が悪いこと、世銀からの借款、ホットストリップミルを導入した圧延部門、水島製鉄所の製作、西山の晩節となっている。 西山の人柄やリーダーシップも描かれているが、新しい技術...

2015/08/16読了 川崎製鉄(現JEEスチール)の創設者、西山弥太郎の評伝である。 下巻は、高炉の調子が悪いこと、世銀からの借款、ホットストリップミルを導入した圧延部門、水島製鉄所の製作、西山の晩節となっている。 西山の人柄やリーダーシップも描かれているが、新しい技術にかなりのこだわりがあることも同様に描かれていた(八幡製鉄と富士製鉄は古い設備が多い、などと助言するなど)。 また、高炉へのこだわりも変わらず描かれているし、将来的な資源不足もこのころから予見していたようだ。 今は成熟してきた鉄鋼業界だが、これほどまでにベンチャースピリットを持った人が業界を作ってきたと、良い勉強になった。

Posted by ブクログ

2015/07/18

150718 中央図書館 戦後から高度成長期にかけて川崎製鉄のトップであった、西山弥太郎の伝記。製鉄技術屋としての力と、エネルギッシュかつ包容力のある一つのリーダー像を通じ、日本の成長を支えた世代の最良の人々が備えていた誠実さと明るさを蘇らせている。 プロジェクトの大胆性に伴う資...

150718 中央図書館 戦後から高度成長期にかけて川崎製鉄のトップであった、西山弥太郎の伝記。製鉄技術屋としての力と、エネルギッシュかつ包容力のある一つのリーダー像を通じ、日本の成長を支えた世代の最良の人々が備えていた誠実さと明るさを蘇らせている。 プロジェクトの大胆性に伴う資金調達の難しさを抱えた千葉製鉄所の建設、さらに未来を見据えて拡張性に夢をもたせる水島製鉄所のプロジェクト。そして現場徹底重視と人を育てることに注がれる心血。川鉄の提灯持ち小説といえばいえるが、理想の企業のありかたの一面を豊富なデータであらわした経済小説の力作であると思う。

Posted by ブクログ

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