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激論 日本の民主主義に将来はあるか
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 海竜社 |
発売年月日 | 2012/06/25 |
JAN | 9784759312539 |
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激論 日本の民主主義に将来はあるか
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ちょっと古いのだが、岡崎邦彦と長谷川三千子の対談を読んだ。とっても知的好奇心をくすぐる内容。 イギリスのマグナ・カルタ、フランス革命、アメリカ独立と、世界で民主主義を確立したとされている歴史的事象から、民主主義の根本には、横暴な権威に対する抵抗がある、とする。だとすれば、対抗し...
ちょっと古いのだが、岡崎邦彦と長谷川三千子の対談を読んだ。とっても知的好奇心をくすぐる内容。 イギリスのマグナ・カルタ、フランス革命、アメリカ独立と、世界で民主主義を確立したとされている歴史的事象から、民主主義の根本には、横暴な権威に対する抵抗がある、とする。だとすれば、対抗しなければならなかった権威がないのに、なぜ日本に民主主義が根付いたのか。 さらに言えば、国を纏める、という意味において、意見が分かれる民主主義には遠心力が働き、それを補完する求心力は、イギリス、フランス、アメリカのすべての例で、愛国心だとする。では、愛国心という言葉を使うのが憚られる空気がある日本は、民主主義という遠心力でバラバラになってしまわないのか、と論は進む。 そんな中で、今日の日本の民主主義は、多数決で物事を決める、という原則よりも、議論によるコンセンサスを重視する、それは、聖徳太子の「和を以て尊し」の精神、あるいは熟議をして物事を決めよ、という旧憲法の精神が示す、日本人の特性に依るところが大きいのではないか、という考察に至って行く。 二人とも、保守を代表する論客で、その為に議論が右寄りになるのはやむを得ないが、一方で、かなりガチな意見のぶつかり合いが随所に見えて、極めて興味深い。 対談形式というのは、筋を追ったロジカルな説明には、頭に入りやすいという意味で、極めて優れたツールであることも、再認識できた。 間を置いて、また読みたい。
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民主主義を考えるための師弟激論に知的刺激受ける(上)《赤松正雄の読書録ブログ》 民主主義とは何なのか―このところこの問題意識を問う論考や書物に出会い、考えを巡らす機会が少なくない。三十八年に及んだ自民党の一党支配から十数年の連立政権を経て政権交代の三年余り、重要課題は先送りさ...
民主主義を考えるための師弟激論に知的刺激受ける(上)《赤松正雄の読書録ブログ》 民主主義とは何なのか―このところこの問題意識を問う論考や書物に出会い、考えを巡らす機会が少なくない。三十八年に及んだ自民党の一党支配から十数年の連立政権を経て政権交代の三年余り、重要課題は先送りされるばかりの決められない政治が続くのは一体なぜなのか。民主主義そのものに根源的な欠陥があるのではないのか、との観点にたつ書物と格闘し、知的刺激をいっぱい受けた。 長谷川三千子『民主主義とは何なのか』と岡崎久彦、長谷川三千子『激論 日本の民主主義に将来はあるか』の二冊である。正直言ってこの二冊を読み終え、すべてがわかったとは言い難い。だが、思索の糸口に立つことができ、考え続ける格好のよすがとはなる、と言っておこう。現代日本を代表する、しかも男女双方の立場を担う保守の論客二人による合奏は実に興味深いものがある。 ズバリ、長谷川さんは、民主主義とは、一口でいえば「人間に理性を使わせないシステム」であり、「そのことが革命から生まれ出てきた民主主義の最大の欠陥であり問題点なのである」と喝破する。戦後民主主義との名で呼ばれてきたものの只中で、どっぷりと浸かって私は生きてきた。子どもの頃の記憶を辿ると、二言目には「多数決が民主主義」が少数意見は尊重されなければ、とのおまけ付きで、言い古されてきた。そして、天皇に代表される権威、軍部に集中された権力に支配されてきた、戦前の支配機構や歴史を全否定する流れに身を任せてきた。そのことがいわゆる“革新幻想”とあいまって戦後の思考停止とも言うべき状況を生み出す起因となってきた。 国際政治を語らせて余人の追随を許さないかに見える岡崎久彦氏がここまでへりくだるか、との複雑な思いを抱くくだりが「激論」には散見され印象深い。「その該博な知識は、従来漠然と民主主義について腑に落ちないところのあった私としては、まさに、真理に目を開かされた思いがあった。読者の方々も、民主主義というものがいかに理論的にあやふやなものであるかについて、長谷川さんの哲学的分析から深い啓示を受けることができよう」との指摘から始まり、「民主主義というものは、そのままで、自動的に善政をもたらすものではないという、今まで漠然とそう思っていたことが真実であることを確信するに至った」との吐露に至るまで、全編これ民主主義をめぐる師弟対談の趣きすら漂う。 (つづく) デモクラシーよりも自分の国柄にあった政体を(下)《赤松正雄の読書録ブログ》 民主主義といえば、かのチャーチルの「民主政治は最悪の政治である。ただし、今までに存在したいかなる政治制度よりもましである」との箴言を思い出す。これについて今まで長きにわたって結局は民主主義しかない、民主主義はいいものだとの表面的理解に終わっていた私の浅薄な捉え方を長谷川さんと岡崎さんは打ち砕き、そして新たなものを打ち立ててくれる。 「彼のこの言葉は、いわゆるデモクラシー礼賛の言葉というより、むしろコモンロー礼賛であって、自分の国柄に合った政体でなければだめだよ、というメッセージとして聞くべきものなのでしょう」と述べ、それを受けて岡崎さんが日本における大正デモクラシーを賞賛する。この辺りのやり取りを追って、改めて歴史を学び、自分の頭脳で考えることの重要性を実感する。随所で知的刺激が堪らない。 戦後民主主義のダメさ加減を実感して民主主義全般の否定に立ち至るのではない。日本の歴史を振り返って、日本独自の民主主義の政体、在り様に思いをいたすことの大事さをこの二冊からそれなりに理解した。岡崎さんは「日本の民主主義は、明治の自由民権運動以来営々として築いた日本社会の近代化の頂点でありながら、占領史観によって無視されてしまった、大正デモクラシーへの復帰とその改善であるべきだと考えるに至った」と強調。具体的な実現する手段としては「憲法の改正、教育、言論によるほかはない」と結論づける。 尖閣諸島をめぐる中国政府の理不尽きわまりない主張や、暴動的デモによって、日本には今、主権者意識の高まりがみられる。しかし、その高揚たるやみせかけのものとの指摘が見逃せない。 京大教授の佐伯啓思氏は「『国民主権』や『民主主義』、『憲法』という言葉だけを輸入してきて、どうして西欧思想のなかでこれらの観念が生み出されてきたのか、そのことを理解していない」(「反・幸福論」22 領土を守るということ=「新潮45」10月号)と厳しく論及している。このあたりは長谷川、岡崎両氏と共通の問題意識がみられよう。こうした識者の論調が社会に定着するまで、まだ前途は大いに険しいものがあるというほかない。(この項終わり)
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