GA JAPAN(117号)

エーディーエー・エディタ・トーキョー

• 販売会社／発売会社: エーディーエー・エディタ・トーキョー
• 発売年月日: 2012/06/01
• JAN: 9784871409162

商品レビュー

2012/07/02

吉田五十八の名作「惜櫟荘」の復元と隈研吾のWater/Cherry の2作品を近代、現代数奇屋として対にもってくるとは。。。
つくづく、いかに軒先を作りこむかが近代と現代数奇屋の違いだとわかる。
後者は天井高さの確保より、輻輳・腰庇とせざるをえなかったのだが、根津美術館から続くディテールで、無節の杉材や、柾目の多用で「線の捨像」を表現。「佳水園」のような屋根の重ね合わせを目指すのは理解できるが、ここまで開口部が連続すると庭から引いたときに軒下の明るすぎる空間に目が行ってしまわないかと。。。その分、前者のスケール感の巧みさに目がいく。
これを対にもってくるとは意地悪な編集。

あと、特集の「今、エンジニアが考えていること」が面白かった。キーワードだけ。
・竹中、中川氏（設備）
・Big dateを扱える統合型のBIM
・どれだけ定常化できるか？という問題意識から現代ではどれだけ非定常な状態に対応できるかという意識が浮上。
・非定常状態への意識
：構造→長周期地震動への対応
：設備→自然換気促進のため温度差だけでなく風圧係数の差も考慮した上でのシミュレーション→Big dateの扱い。

・パーソナル化、細分化の中で、環境的原論をいかに共有できているか？意匠、構造、設備、施工と設計施工一貫のシステムでのメリットは大きい。

・パッシブであること。
→機械仕掛けでシステムをつくるより、自然に身を任せるだけで共生的な関係をつくれるような建築。