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おばけずき 鏡花怪異小品集 平凡社ライブラリー764
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2012/06/12 |
JAN | 9784582767643 |
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商品レビュー
3.8
10件のお客様レビュー
読みやすい。 鏡花の小説は注釈をたくさんつけてもらわないと理解できない現代人の悲しさなのですが、ゆっくり読めばわかるので抵抗はない。理解できないのは、雅文というより、芝居などからの引用のこと。けれどこれは特に読みやすい文章を集めていて新鮮。 とはいえ鏡花の良さ、美しい日本語、明...
読みやすい。 鏡花の小説は注釈をたくさんつけてもらわないと理解できない現代人の悲しさなのですが、ゆっくり読めばわかるので抵抗はない。理解できないのは、雅文というより、芝居などからの引用のこと。けれどこれは特に読みやすい文章を集めていて新鮮。 とはいえ鏡花の良さ、美しい日本語、明るく親切な江戸っ子たち、がらっと雰囲気を変えて盛り上げる終わり方、は健在で楽しめました。 終わり方が明るく可愛らしいのも多くて、小説以外の作品も最高ですね。 それに小説だけでは知り得ない鏡花の人となりも垣間見えました。妖怪好きのくせに臆病で、自分を卑下しすぎなくらいひねくれていて、それでいてユーモラス。 尾崎紅葉先生のもとで他の弟子たちと楽しく過ごしている青春時代も素敵。 力の強さが何よりも大切であった時代には、文学なんて繊細なものを志す人たちには生きにくくて、悔しい思いもたくさんしたのかもしれない。昭和になれば川端康成はあの強面で骨董品屋の取り立てを追い返していたとか、三島由紀夫がボディービルダー並みに鍛えていたとか聞くけれど。 なんにせよ、何を読んだって鏡花のことはずっと好き。 ただしマザコンものは除く。 ちなみに私はこの本を読んで、粥という字を書けるようになりました。弓、弓、間に米。弱い、ではいけない。盥も書けます、もちろん。
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『言葉に艶(つや)がある』 これに尽きます。 短編やエッセイなど、小品を集めたアンソロジーですがどれもが美しく幻想的。"湿っぽい不気味さ"が味わえるのが日本ならではの怪談の特徴なのでしょう。今では滅多に使わない語句も多いのですが、きちんとルビが振ってあるので...
『言葉に艶(つや)がある』 これに尽きます。 短編やエッセイなど、小品を集めたアンソロジーですがどれもが美しく幻想的。"湿っぽい不気味さ"が味わえるのが日本ならではの怪談の特徴なのでしょう。今では滅多に使わない語句も多いのですが、きちんとルビが振ってあるので入門編としてもお薦めです。 人間の抱える深い闇。それが古語を交えた流れるように鮮やかな文体で語られると、色も匂いも、そして肌触りまで伝わってくるように感じられ、中毒性が高いこと請け合いです。
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猛暑に荒ぶった心を静め、お盆気分を高めるため怪談など。 怪異といっても、ちょっと不思議だと感じる程度で、あらすじらしいあらすじも複雑に絡み合う登場人物もない。 「……トントントン、たたらを踏むように動きましたっけ。おやと思うと斜(はす)かいに、両方へ開いて、ギクリ、シャクリ、ギ...
猛暑に荒ぶった心を静め、お盆気分を高めるため怪談など。 怪異といっても、ちょっと不思議だと感じる程度で、あらすじらしいあらすじも複雑に絡み合う登場人物もない。 「……トントントン、たたらを踏むように動きましたっけ。おやと思うと斜(はす)かいに、両方へ開いて、ギクリ、シャクリ、ギクリ、シャクリとしながら、後退りをするようにして、あ、あ、と思ううちに、スーと、あの縁の突あたりの、戸袋の隅へ消えるんです。変だと思うと、また目の前へ手拭掛がふわりと出て……出ると、トントントンと踏んで、ギクリ、シャクリ、とやって、スー、何(ど)うにも気味の悪わったらないのです。」 縁側の手拭掛が歩いた、それだけ(⁎˃ᴗ˂⁎) 「どういう話だったかといわれると、すんなり筋を通して語るのはあまり楽ではない。ただ作中のきらめきが、記憶にこびりついて、慕わしい思いをそそり立てるのである。 (中略) そうした文字通りの小品が、規模の大小と関わりなく、凝集した幻視のきらめきを核としていることに注目したい。(川村二郎)」
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