綾香

黒野伸一【著】

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2012/06/20
• JAN: 9784334928292

商品レビュー

2021/08/09

　始めは後妻業的な話かなと思って読んでいたが、ホラーミステリーだった。

　綾香の能力は死(運命)に捉えられた人を感知できるというものだが、その『死』についての線引きが曖昧だったように感じる。
　橘正太郎の病死や香坂伸二の事故死を予見したのは能力に適う。
　だが伊丹社長が幸田に殺されたのは綾香を挟んだ三角関係のもつれであり、綾香がいなければ起こらなかった死である。
　また涼を死から救えたのなら黒木社長も救えたはずだし、何より自身も死なずに済んだのではなかろうか。

　面白かったが、少しモヤモヤが残ったため、☆４つ。

2015/07/10

神出鬼没、不可解な死を遂げる人たちの回りには
綾香という一人の女の存在がありました。

介護ヘルパーとして、
体の不自由な孤独な老人の世話をしていましたが、
老人の家庭事情を知りながら、男女の仲に。
やがて老人の死体が家族によって発見されますが、
綾香は勤め先の介護会社をやめて行方不明になっていました。

その後のストーリー展開は、過去にさかのぼります。
次々と死ぬ人が出てきますが、
キャバクラ嬢として綾香が接客していたり、
葬儀社につとめる綾香がそばにいたりと、
まるで事件・事故の鍵をにぎるように
綾香の存在が光っているのです。

たった一人の肉親である兄の死に不審な点を見つけた黒木刑事。
死の数カ月前に兄の前に現れ、そして姿を晦ました綾香を
追い詰めるうちに、
彼女の一種の能力がわかるようになってきます。

謎の女綾香。
彼女はいったい何なんだろう、彼女の目的ってあるのだろうか。
そんな気持ちになりながら、先が気になり、読み進めました。
幸せな環境で育ったわけでない綾香は
自分のある能力に気が付いたとき、
運命に逆らわずに生きていくことにしたのです。

決して自分の手を汚さずに
最後までターゲットに悔いを残させないように接していました。
ある意味、菩薩なのでしょうか。
面白く読めましたが、私の頭の中では、
綾香自身がいまだに謎の存在のままです。

2013/10/06

時にはホステスだったり、また介護の仕事をしていたり、葬儀レディだったり。
その時々、綾香の色香に惑わされる男たちがいて、綾香も男たちを拒まない。さまざまな男たちと情を交わす綾香。
そして綾香のいるところには男たちの不審な死がある。