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ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか 岩波ブックレット838
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2012/06/08 |
JAN | 9784002708386 |
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ひきこもりのライフプラン
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商品レビュー
3.7
5件のお客様レビュー
大きく2章に分かれている。 前半は、斎藤環医師によるひきこもりの症状や対応について。 後半は、ファイナンシャルプランナー畠中雅子氏による、親が亡き後の彼らのライフプランについて、である。 特に後半は画期的である。 引きこもりも高齢化し、もはや社会生活を送れない程の年齢(...
大きく2章に分かれている。 前半は、斎藤環医師によるひきこもりの症状や対応について。 後半は、ファイナンシャルプランナー畠中雅子氏による、親が亡き後の彼らのライフプランについて、である。 特に後半は画期的である。 引きこもりも高齢化し、もはや社会生活を送れない程の年齢(30後半-40代)に突入していることも珍しくない。 ひきこもりも一つの「病」であり、長引けば長引くほど病状は重くなる。 畠中氏は「希望は持たず、まず、子どもがこの先も社会復帰する見込みはない」ことを前提にライフプランを立てることを提案する。 まずは子どもがなくなるまでに、必要な経費を割り出す。 そして、親の遺産を整理し、それがどのくらいまでもつかを考える。 親の遺産が少しでも残るように必要な場合は引越しすることも考える。 少しでも経費が節減できるように、自炊のためのご飯の炊き方を教えておくなど、微に入り細に入り、生活の具体的な指導が列挙されている。 また、兄弟との諍いを避けるため親の遺産は引きこもりの子供に譲ることなど、遺言を書く事もすすめられている。 ====================== 畠中氏のプランが具体的で現実的であればあるほど、切なくなる。 高齢のひきこもりが、親なきあと、法律で武装して兄弟にたかり、兄弟の生活すらめちゃくちゃにする(例えば結婚できない)などの話も聞いたりするので、早めの対策が必要と感じる。 それには「一切でも早いうちに」「親が」「頭を打つ(自分の子供が社会復帰できないことを認める)」のが肝要とのこと。 「ひきこもり」というのは単なる精神論で乗り越えられるものではなく、「病」なんだなーと感じる一冊。
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社会から排除された青年は、同居率が高ければひきこもり、低ければホームレスになる。第三者の適切な介入がなければ変わらない。まず承認し安心させること。働けない前提で、生涯資産・収支をシュミレーションし、サバイバルプランを立てる。 一世代のライフプランでも難しそうなのに、二世代分が可...
社会から排除された青年は、同居率が高ければひきこもり、低ければホームレスになる。第三者の適切な介入がなければ変わらない。まず承認し安心させること。働けない前提で、生涯資産・収支をシュミレーションし、サバイバルプランを立てる。 一世代のライフプランでも難しそうなのに、二世代分が可能になるというのはすごい。プランは重要だ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ひきこもりの子供に対する親の理解と対応、さらに保険や遺産相続にまでわたるライフプランの紹介と、中身の濃い一冊。 マズローの欲求段階説をベースに、承認欲求→就労意欲、の前段階として、親は子に対して、(特に家庭内での)安全欲求を満たし、関係欲求を構築し直すことから始めるべきである。また、引きこもり治療においては「複数の親密な仲間関係を持つこと」をゴールとする、など、理路整然としていてとてもわかりやすい。 面白かったのは、ひきこもってると「自分の欲望がわからなくなる」ということ。欲望は他人から貰うもの、他者との接点なくして自分の欲望は理解できないという。そのため、ひきこもりが長期化すると欲望そのものが減退し、ますます自己実現欲求から遠く後退してしまうのだ。 人は、他者と接することで自分の欲望を再発見し、動機づけが生まれる。承認欲求に関してはよくわかるけど、逆説的にはあまり考えたことがなかった。 そして、筆者が引用している中井久夫さんの言葉が素晴らしい。 「『人間の中にはそれほど有害でなく強引でもなく限度内であなたの役に立とうとしている者がある』ことを強制性なしに伝達することが大切なのだ」 これは、覚えておきたい素敵な言葉だ。 ひきこもりはグループホームや保健師による在宅訪問などが制度的に徐々に整備されてきているようだが、同じやり方が適応できそうな「不登校」は「学校という社会に属している」ということが足枷になっているところがあると思う。不登校児のフリースクールは共助の精神を学ぶにはあまりにも貧弱と言わざるを得ないし、親も学校も、今ある社会にどう復帰するか、という型に捉われすぎていて支援が進まない部分があると思う。 何はともあれ、大変参考になる一冊だった。
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