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コモディティ戦争 ニクソン・ショックから40年
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コモディティ戦争 ニクソン・ショックから40年

阿部直哉【著】

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コモディティ戦争 ニクソン・ショックから40年

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 藤原書店
発売年月日 2012/05/24
JAN 9784894348585

コモディティ戦争

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2013/02/19

投機の街シカゴのトレーダーが最も尊敬する大統領はニクソン。ドルと金の交換停止と変動相場制の導入はその後金融のイノベーションを引き起こす。 シカゴ穀物取引所では現在大豆、トウモロコシ、小麦などが上場されているが、大豆の場は世界市場の4割が米国、ブラジル27%、アルゼンチン14%、中...

投機の街シカゴのトレーダーが最も尊敬する大統領はニクソン。ドルと金の交換停止と変動相場制の導入はその後金融のイノベーションを引き起こす。 シカゴ穀物取引所では現在大豆、トウモロコシ、小麦などが上場されているが、大豆の場は世界市場の4割が米国、ブラジル27%、アルゼンチン14%、中国7%と偏在している。シカゴは1860年代に農産物の集積所として栄え5大湖を経てヨーロッパに輸出されていた。例年秋の収穫期には穀物が集まるとともに供給過剰のために値が下がり、倉庫不足のため数千tが廃棄され、初夏を迎える頃には逆に在庫が底をつき収穫時の15倍の価格で取引されるようになる。この価格変動を抑えるために生み出された仕組みが商品先渡し取引で将来の価格を先に決めることによりリスクをヘッジできる。 実はそれに先立つ1697年に大阪の堂島で設立した堂島米会所が8代将軍吉宗の時代1730年に南町奉行大岡越前守忠相が先物取り引きの仕組みを認めており世界で初めて公式な先物取り引き所になっている。 シカゴ取引所は穀物の価格決定権を持つことになりアメリカは1970年代の冷戦中に対ソ、産油国の武器として穀物取引を使い始めた。原油ではOPECに対抗するためニューヨーク原油先物市場が誕生しWTIが上場された。WTIの現物取引量はわずかだが先物取り引きでは僅かな証拠金を元に取引ができるためレバレッジが働くため現物の数倍の取引が行われている。例えば日本が中東から輸入する原油も価格はWTIが基準になっているが最近では元々スポット取引だった北海ブレントのシェアが高くなっている。 一方で元々リスクヘッジの手段であった先物取り引きに投機マネーが流れ込む。ヘッジの本来の意味は保険繋ぎであり、将来の現物売りに対し予め先物を売っておく。期日に価格が下落した場合には現物売りは損をするが先物は価格が下落した現物の買いと相殺して損失に対し保険をかけることができる。逆に期日に価格が上がった場合はヘッジをした分利益が減る。こうして価格を平準化するのが本来の先物の発想だったのだがヘッジファンドはこのレバレッジを使って膨大な利益を(あるいは膨大な損失を)あげた。 先物取り引き所には金だけでなく情報が集まるため世界の商品取引所の再編が進んでいる。シカゴの2取引所とニューヨークのNYMEXが合併し世界最大のデリバティブ取引所が誕生した。2003年には東京工業取引所は世界2位、他に中部商品取引所8位、東京穀物取引所が9位とベスト10の3つを占めたが2009年にはNYMEXを抜いて上海、大連の中国の2取引所がランク1、2位を奪取。同じく中国の鄭州が4位、インドのマルチが6位、インド国立が10位と新興国のプレゼンスが高まり、東工取は11位に沈んでいる。東京穀物取引所は来年解散の見込みだ。一方の上海取引所は来年原油先物取引を始めると報じられている。 著者は先物取り引きそのものを進めている訳ではなく、先物取り引きの解説書ではないが海外取引所との連携を含め東アジアでのコモディティ市場に影響力を持つ総合取引所の設立を提案している。

Posted by ブクログ

2012/09/02

コモディティといわれると、基本的な機能に違いが見いだせなくなった文房具や家電を思い浮かべてしまう私だが、先物がコモディティと呼ばれる所以がわかる本である。 ドルと金との交換が停止されたニクソンショック以来、基準を相対化することで世界経済はバランスされてきた。先物取引はさらに売り買...

コモディティといわれると、基本的な機能に違いが見いだせなくなった文房具や家電を思い浮かべてしまう私だが、先物がコモディティと呼ばれる所以がわかる本である。 ドルと金との交換が停止されたニクソンショック以来、基準を相対化することで世界経済はバランスされてきた。先物取引はさらに売り買いの予測をたて、特に農作物の市場価格を安定化させるために導入されてきた。こうした経緯を、様々な事例により紹介している。日本国内において、江戸時代に大阪中心に広がった市場についても言及されており、非常に身近な問題としてとらえられる本である。経済が専門でなくても、読み物として楽しく読めるようになっている。 これが戦争と称されるように、巨大マネーが投機的に市場を動かしたため、価格が高騰するなどして庶民の生活に影響するようになってきた。全体を管理しきれればいいのだが、コモディティ化されて、この世の中はどこへ行くのだろうか。

Posted by ブクログ

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