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ホッテントット・ヴィーナス ある物語
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 法政大学出版局 |
発売年月日 | 2012/05/21 |
JAN | 9784588490262 |
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ホッテントット・ヴィーナス
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ホッテントット・ヴィーナス
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文明を築けたから優れているのか? とても単純な思考 人類はもっと複雑 人類の愚かさを突きつけられた とても悲しいお話し だれが人間でだれがそうでないのか、 だれが普通でだれが奇形なのか、 だれに生きる価値があり、だれにその価値がないのか、 そんなことを決めようとするこの人たち...
文明を築けたから優れているのか? とても単純な思考 人類はもっと複雑 人類の愚かさを突きつけられた とても悲しいお話し だれが人間でだれがそうでないのか、 だれが普通でだれが奇形なのか、 だれに生きる価値があり、だれにその価値がないのか、 そんなことを決めようとするこの人たちは何者なのか? 民のなかの民に対し、絶滅だけがふさわしいなどと公言する彼らは何者なのか? 私たちは不要などころか、民のなかの民、人類のなかの人類、人間のなかの人間ではないのか? ホッテントット・ヴィーナス ある物語 フィラデルフィア生まれのアフリカ系アメリカ人である著者、チェイス=リボウが再構築した「サラ・バールトマン」の「作り話」 膨大な資料に当たり、言葉を、残さなかったサラ・バールトマンの心に寄り添い、彼女の、生きた時代と社会、世界をできるだけ忠実に再現しようとした
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時代は19世紀初頭、南アフリカのコイコイ人の“サラ”がロンドン・パリで「ホッテントット・ヴィーナス」の呼び名で見世物にされた。 肥大した臀部、舌打ち音を特徴とした言葉から、「猿と人間をつなぐ失われた環」と目され、博物学的好奇心の対象ともされた。 そんな“サラ”の生涯と、死んでから...
時代は19世紀初頭、南アフリカのコイコイ人の“サラ”がロンドン・パリで「ホッテントット・ヴィーナス」の呼び名で見世物にされた。 肥大した臀部、舌打ち音を特徴とした言葉から、「猿と人間をつなぐ失われた環」と目され、博物学的好奇心の対象ともされた。 そんな“サラ”の生涯と、死んでからも博物館に標本として展示され、その後現代に民族運動が活発になり、“サラ”の標本がアフリカの地へ帰るまでが描かれている。 読みながらずっと感じていたことは、自分たちと違う存在に対して、人間は驚くほど残酷になるということ。 これは現在のイスラエル・パレスチナ問題にも、ロシア・ウクライナ問題にも通じるのではないか。 人種・宗教・生活様式…。違いを許容し、心を寄せることが大切。
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『父さんのからだを返して』は、亡くなった父の体が知らぬうちに 骨格標本にされて、アメリカの博物館に展示されていたエス キモーの少年の話だった。 本書は身体的特徴の為に、ヨーロッパで見世物になれたアフリカ 人女性をモデルにした小説である。 サラ・バートマン(本書ではサラ・バール...
『父さんのからだを返して』は、亡くなった父の体が知らぬうちに 骨格標本にされて、アメリカの博物館に展示されていたエス キモーの少年の話だった。 本書は身体的特徴の為に、ヨーロッパで見世物になれたアフリカ 人女性をモデルにした小説である。 サラ・バートマン(本書ではサラ・バールトマン)。南アフリカ・東 ケープに暮らす遊牧民のコイコイ人。初めにオランダ人がやって 来た。彼ら白人はクリック音の多いコイコイ人の言葉から、「どもる 人」との蔑みを込めて、現地の人々に「ホッテントット」と名付けた。 後方に突き出た大きなお尻と、「ホッテントットのエプロン」と呼ばれる 女性器という身体的特徴が、オランダ人の次にやって来たイギリス人 には金儲けの見世物としてうってつけだった。 1810年、イギリスへ行けば大金を稼げると言いくるめられて、サラは イギリスへと渡る。そこで待っていたのは、身体的欠損を持った人々 と一緒に見世物に供されることだった。 サラの身体的特徴を際立たせる為に、体にぴったりした薄い衣だけ を着せられた彼女は、来る日も来る日も、白人たちの好奇の目に 晒される。「生ける野蛮」として。 白人は思い至らない。姿かたちは自分たちとは違っても、彼女には 「心」があるということを。 イギリスでの彼女の興行権を持っていた男が、フランス人との賭け に負けたことから、サラはフランスへ渡ることになる。 そこでは更に過酷な人生を彼女を待ち受けていた。見世物にされ たのは勿論のこと、ナポレオンの主治医に生きたまま調べられる。 現実から逃れる為か。麻薬に依存するサラは推定27歳でこの世を 去る。それでもサラの悲劇は終わらない。遺体は解剖され、骨格 標本が作られ、脳や性器はホルマリン漬けにされて1970年代 まで博物館に展示されていた。 サラが生まれ故郷の南アフリカへ戻ったのは2002年。実に192年 振りの帰還だった。 本書はあくまでもモデル小説だが、異なる存在に対する偏見に ついて考えさせられる。今でこそ、見世物小屋はないけれど、 テレビがその役割を担っていやしないか。 生きて見世物にされ、死して標本とされたサラ。今は故郷の 立派な墓に眠っている。魂は安らかだろうか。
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