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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2012/04/25 |
JAN | 9784560082058 |
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商品レビュー
4.7
4件のお客様レビュー
正直なところ、こんな高難度なアルパインクライミングの話を読んでも、理解できてはいないのだろう。ちょっと山に行っているとしても(行かない0と1とは大違いだとしても)。 だから、映画をみるように、頭の中で再現する。垂壁の表面の微妙なシワにクランポンの爪の先をねじ込んだり、足場の氷が...
正直なところ、こんな高難度なアルパインクライミングの話を読んでも、理解できてはいないのだろう。ちょっと山に行っているとしても(行かない0と1とは大違いだとしても)。 だから、映画をみるように、頭の中で再現する。垂壁の表面の微妙なシワにクランポンの爪の先をねじ込んだり、足場の氷が崩れてハングした氷壁に片手でぶら下がったりする「見せ場」を映像化してみる。さらに、クライミングと出会い、憧れの壁、目標を見つけ、ロープを結ぶパートナーと出会い、同時に魂をも結び、たくさんの友を喪い、でも持てる全てをつぎこんで登り続け、ついにはほとんどの人間が辿りつけない高みへと迫る…1人の人としてのドラマを描いてみる。山に憧れる人ならば、それで充分元のとれるエキサイトメント。 とはいえ、世界最強クライマーのリアルなレポートをもってしても、厳しい山に関する文章はみな突き当たる、「なぜ登るのか」問題に回答を与えることは難しい。でも、厳しさを増す登攀の中で語られるザイルパートナーとの絆やその意味、夢を達成した大登攀の後の喪失感には、普遍的な価値基準に訴える何かがある、気がする。 最後の謝辞には、ありがちな「愛するXXXへ捧ぐ」的な一説はなかった。自己陶酔の瞬間にも、常に醒めた目で見ている自分がいる。 「…わたしたちはみな、それぞれ独自に自分の闘いを繰り広げている。ただ、わたしにとっての真実が普遍性を持つとは限らない。だから表現するのは難しい。わたしのアイスアックスは、あなたにとっては、絵筆なのかもしれない。」 そこに至っては、危険な見かけから理解されにくい普遍性にも辿りついている気がする。 でもやっぱり…彼岸と此岸の世界観は、ゼロとイチの違いより大きいかもしれない(笑)
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現在世界で最もきわどいクライミングを極める1人。 本書では数々の登攀の際のメンタルな部分が繊細に読み取れる。 こんなに先鋭的なクライマーでも揺れる恐怖心、葛藤… そして仲間の滑落死の壮絶な描写… 時が経ったら、もう一度読み返したい一冊。
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この本はパタゴニアから届いたメルマガの中の紹介記事を読んで知りました。書店で手に取って表紙の写真にまず度肝を抜かれました。尋常ではない冬山の急斜面に非力感が漂うほど小さく人間の姿がぽつんと張り付いています。この本は世界最強のアルパインクライマーの一人と言われ、同社の製品開発テスト...
この本はパタゴニアから届いたメルマガの中の紹介記事を読んで知りました。書店で手に取って表紙の写真にまず度肝を抜かれました。尋常ではない冬山の急斜面に非力感が漂うほど小さく人間の姿がぽつんと張り付いています。この本は世界最強のアルパインクライマーの一人と言われ、同社の製品開発テストも務めるスティーヴ・ハウスが自ら書いた赤裸々な自叙伝です。ページをめくっていくと驚くのは四次元的に話が書かれていることです。最初、登りルートのスタート付近のことが書かれていたかと思うと、次に下りルートの最後でベースキャンプにゴールする直前のシーンがペアで登場し読み進むうちに山頂のシーンで一つに帰結するという不思議な書き方です。プロが書いた本のため登山用語は雨あられのように出てきます。巻末に用語解説8ページ(51項目解説)が掲載されています。しかし読んでいるうちにだいたい見当がついてくるので気にしないでよいです。そんなことは問題にはなりません。この本の大事なところは普通ありがちな成功した賛美の列挙ではなく、失敗したことや、その結果に行き着くまでの途中の判断や迷いが直接書いてある点です。一読する価値があります。文中に出てくる吐き気・嘔吐・頭痛といった表現は朝飯前であり、事故・骨折・仲間の死・葬儀といったことも体験した目線で直接書かれています。作者は高度を上げていくに連れて人間的な名目を次々に削ぎ落して行き、頂上で全てがリセットされる。続く下りの方がキツく生身の身体を削られる思いで必死に降りてくる姿を伝えています。またこの作者は本書の中で三度ほど三島由紀夫の考え方や作品について引用しているのは印象的でした。(読み終わってから邦訳は北壁の死闘を訳した梅津正彦氏だったことにきづきました)
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