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世界を変える教室 ティーチ・フォー・アメリカの革命
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 英治出版 |
発売年月日 | 2012/04/11 |
JAN | 9784862761101 |
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商品レビュー
4.8
4件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
貧困によるアメリカ国内の教育格差、機会格差の解消のため、大きな成果をあげたTeach for America(TFA)の実績と今後について、組織の創設者でもある著者自身が発信している本書。成果だけでなく課題もしっかり書かれていて、内容に誠実さを感じられる。 TFAのメンバーは、アメリカ国内の教育格差がある地域に2年間、派遣される。国内版のJICA海外協力隊のような感じだが、しっかり成果を上げていること、教育分野に飲み特化していることなどはJOCVとはやや趣が異なる。貧困地域の子どもは高所得地域では経験しない困難に直面させられているほか、人種差別の影響も受けるため、変革的な教育が必要であり、そのためには教師の強いリーダーシップと信念が必要、というのが本書のメインテーマであり、TFAがこれまで活動を積み重ねて培った信条である。 序章から最終章まで、繰り返し書かれているのは、変化を起こす教師がいかに重要であるか、その教師が活躍できる学校やコミュニティなどの環境づくりがいかに難しいか、変化を生み出せる教師の影響力や特性をいかにほかの教師に共有し、伝播させ、連携させることが重要か、ということ。いずれも、言うは易し行うは難しというものばかりで、革新は一筋縄ではいかない、と思い知らされる。 TFAは日本法人もあるらしい。日本とアメリカでは教育分野においてNGOが入り込む余地や制度上の壁がかなり違うと思われるので、このTeach for Japanが今、どのぐらい「TFAが積み上げてきたようなアメリカ流の」やり方を活かせているのかは分からないが、貧困やそれに付随する様々な問題に取り組むリーダーを育めているようであれば心強い。
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1990年当時プリンストン大学の4年生だったウエンディ・コッブは全ての子供たちがすばらしい教育を受ける機会を得られるようにすることを目的に教育系NPO Teach For America(TFA)を立ち上げた。 TFAは大学卒業後の将来リーダーとなる可能性を持った優勝な若者を、非...
1990年当時プリンストン大学の4年生だったウエンディ・コッブは全ての子供たちがすばらしい教育を受ける機会を得られるようにすることを目的に教育系NPO Teach For America(TFA)を立ち上げた。 TFAは大学卒業後の将来リーダーとなる可能性を持った優勝な若者を、非常に深刻な課題を抱える地域に学校の教師として2年間派遣している。2011年には全米43地域に9300名の若者を派遣し就職企業ランキングでは文系学生でグーグルやアップルを抜いて1位になっており派遣教師になる合格率は僅か11%。派遣を終えた若者はそのまま教師になるものもいれば企業に就職するものも有るが企業からは引っ張りだこになっている。 TFAの中でも特に優秀な教師は目覚ましい成果を上げている。ミーガン・ブルッソーはサウス・ブロンクスのかつてカーター元大統領がアメリカ最悪のスラムと読んだモリサニア地区で生物を教える任務を引き受けた。2008年秋に9年生(日本の中三)の生徒に向かいニューヨーク州で高校を卒業するのに必要なリージェンンツ試験に合格することが目標だと告げた。生徒のほとんどは8年生の内容を理解しておらず、生徒の60%は英語が標準以下で自宅ではスペイン語を話しており20%は3学年分遅れていた。9ヶ月に及ぶ猛特訓の結果112人の生徒のうち109人が1回目で合格、残る3人も2回目で合格した。生徒たちの平均点数は81%とニューヨークの名門専門高等学校まで含めた市全体の平均を上回ったのだ。 アメリカの教育問題は移民の多さ、人種間の格差などもあり高校を卒業できない→就職できない→犯罪率の増加→その子供たちに修学の機会を与えないと悪循環になっている。TFAのプログラムが素晴らしいのは生徒の能力を向上させ貧困や家庭の問題を抱えていても高校卒業をはじめとする様々な機会を与える。派遣教師は教育の現場でリーダーシップを学び、TFAは組織として優秀な教師の手法を学び拡大再生産する。TFA出身の人材を採る企業にとっても貴重な研修を受けた人材を採る様なものと全てが良い循環につながる。ティーチング・アズ・リーダーシップ、変革的な教育を実施できる人材を集めることが第一の鍵である。 TFAでは学校長も大きなポイントになっておりTFAに所属する学校長は優秀な教師をスカウトし、教師の評価を生徒の能力を伸ばしたかどうかに焦点を絞り、だめな教師を排除する。一般の企業や組織同様教師にも能力主義が採用されている。教師たちの取る手法は様々で生徒の能力を向上するために独自の方法をとる権限が与えられている。例えばある教師は生徒に具体的な目標を与え、毎週のテストで能力をはかり次週の方針にフィードバックしている。また、政治家や支援者たちの理解も必要になり、例えば説明責任と引き換えに学校を一定の規則から切り離すチャータースクールや学校の統廃合、分割などの構造的な変化もある。コッブがTFA設立5年後にある教育者団体に向かって学校システムはTFAと同じこと、人材を発掘し教師を選抜し彼らの研修と育成に注力すべきと自説を説いた所、教育の大義を推進するために多大な努力を払ってきた改革派のあるリーダーが言った。「どうしてそんなことをやらなければならないんだ。会計事務所はそんなことをしていない。軍需の請負業者だってそんなことをしてないぞ」アメリカの教育関係者の多くが他の優秀な組織が成功を保証するためにどんなことをしているか理解していなかったのだ。変革的教育が可能であることとそれによって何が生じるかを理解している政策立案者や政治リーダー、支援者の数を増やすことが第二の鍵である。 そして問題の大きさからこの活動を持続可能で増幅可能なものにしなければならないと言う。 日本でも経済格差による教育格差の課題が有り155万人を超える子供たちが修学援助の対象になっている。TFAは世界的な組織を作り2012年23番目の加盟国としてティーチ・フォー・ジャパンが発足した。 最後にティーチング・アズ・リーダーシップと言う行動規範がシンプルでよくできているので紹介しておきます。 1)大きな目標を掲げる 2)目的を持って計画する 3)効果的に行動する 4)生徒と、その家族および影響を与える人々を大きな目標に向かって本気で取り組ませる 5)効果を追求し続ける 6)弛まぬ努力をする
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アメリカで、大学生のウエンディ・コップさんが、教育についての問題意識を卒業論文にしたことから始まる、アメリカの教育から様々な方面まで劇的な変化をもたらしている、ティーチフォーアメリカといあNPOについての本。 私はこの日本版、ティーチフォージャパンの活動を知り、その勉強会などに参加するうち、ティーチフォーのファンになった。 教育というのは、どこの国でも柱であり、どこの国にも様々な問題があり、その問題は様々な方面に根を張り、簡単に解決できる問題ではなくなっている。特にその中でも、「教育格差」という問題にティーチフォーは取り組んでいる。 その仕組みとは、大学を卒業したての優秀な学生を2年間、教育困難校に送り込むというもの。 なんか、「それだけ?」という風に聞こえるかもしれないが、ティーチフォーのすごいところは、その採用された学生達のフォローとそのつながりにある。 そもそも採用自体、アメリカのトップ校の生徒ばかりの応募から絞り込むので、大変厳しいものである。その優秀な学生(優秀な定義、優秀になるためには何をしたらいいのか僕は知りたい(笑))たちを、学校に送り込む前に、5週間程の研修をする。そこで、教育についての基礎などを徹底的に考えさせられるのだ。 そして、学校に送り込まれてからはティーチフォーが組織的にサポートする。 現在、アメリカの就職ランキングでは、ティーチフォーアメリカが一位だそうで、まずはティーチフォーからキャリアをスタートさせるのがエリートコースのようになっているらしい。 このようなティーチフォーアメリカに関する、ほぼ全てがこの本には詰まっている。教育の可能性を、本当に感じられる良本です。 今後は、ティーチフォーの具体的な授業内容を知りたいと思う。
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