人は“命"だけでは生きられない

佐々木炎【著】

• 販売会社／発売会社: いのちのことば社フォレストブックス
• 発売年月日: 2012/01/01
• JAN: 9784264029274

商品レビュー

2014/01/31

介護職員初任者研修にて
少しだけ介護についてかじりながら、
この本も読んでみました。
だから、初任者研修での学びと
少し対比しながら読み進めました。

感じたのは、介護を見つめる角度が
また少し違うのかなということ。

初任者研修でも、様々な事例について
お話を聞いたり考えたりしています。
強調される考え方は、ICFの考え方、
すなわちできることに注目すること。
それはそれで、その人を肯定する
素晴らしい考え方だと思います。

ただ、この本の著者からは、
できないことにも意味があると信じ、
寄り添う姿勢を感じました。

認知症も神様があえて造られたものだから、「そこには絶望だけで終わることはなく、闇の中で輝く光でもあるのではないか」
「認知症によって新しい自分を見出す旅が始まった」

また、肉体の力が弱められることによって、「ゆっくりと自分の内面と向き合う精神的(霊的)な活動に移行する」
これは、
教育を受ける人生→
仕事に生きる人生→
定年後の人生→
天国の始まり
という、人生のステージに
沿ったものであります。
仕事に生きる人生が終わり、
肉体の力が弱まったからといって、
自分の人生に意味がなくなるわけでは
決してありません。

そして、メメント・モリ(死を覚えよ)
という言葉も紹介されています。
病気や肉体の弱さに加え、
死にさえも意味を見出す。
「介護を必要としている方々が死を意識することによって、身体の痛みや嵐吹く人生行路の苦しみを越えてゆき、大切な友や母なる神に出会い、平安を手にして永遠に向かって旅立ってほしい」

このように、自身の老いや病気や死に
意味を見出していくことは
もちろん容易くはないでしょう。
(今、書いていて思いましたが、
高齢期には「生老病死」の苦しみの
すべてに向き合うのですね。
人生の荒波を越えてきた方々
だからこそできる大仕事ですね)
ましてや、そばにいる人が
どれだけ助けられるでしょうか。

でも、私たちには神様の愛と
永遠の約束がありますから、
この大きな課題を乗り越えていき、
そこに意味を見出していくことは
可能なのだと思いました。

以上、口だけならなんとでも言える、
若輩者のわたしの感想でした（笑）
今後、様々なことを経験しながら、
考え方が変わっていったり、
実感が伴っていったりするでしょう。