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紛争と国家形成 アフリカ・中東からの視角 研究双書598
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紛争と国家形成 アフリカ・中東からの視角 研究双書598

佐藤章【編】

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紛争と国家形成 アフリカ・中東からの視角 研究双書598

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 アジア経済研究所
発売年月日 2012/01/01
JAN 9784258045983

紛争と国家形成

¥550

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2012/08/27

 紛争と国家の関係を、外部からの視点を支柱に据えた国際的介入事業である平和構築とは異なる形で捉えようとする研究者たちの論集で、具体的には紛争が紛争を経験した地域の国家形成に与える影響について各地域事例から考察したもの。  よかった点は、第一に、国際社会による「善意」の介入という...

 紛争と国家の関係を、外部からの視点を支柱に据えた国際的介入事業である平和構築とは異なる形で捉えようとする研究者たちの論集で、具体的には紛争が紛争を経験した地域の国家形成に与える影響について各地域事例から考察したもの。  よかった点は、第一に、国際社会による「善意」の介入という論理を根底に潜ませている平和構築の議論は、紛争地の自律性を問題にしながらも、実のところ国際公共事業としての行政学的研究に特化しており、これは問題ではないかという評者が抱いている疑問をこの本の著者(少なくとも編者)が持っているという事が分かった事。第二に、そこで提示されるのは、紛争そのものの役割を肯定的にも捉え直してみようという意外な視点で、それは特に紛争を経験する事で現地の人々が学び生かされる国家建設というものがあり得るのではないかという「脱平和構築研究」的な視座である事。これは、面白いと思う。  普通、外部からの視点に重きを置く方法論に批判的になると、内部からの視点だという事になって、「下からの平和構築」という概念にいくか、平和構築という事例では扱われない事例における当事者の平和定着の試みに着目するかという事が想定されるわけだが、彼らはむしろ着目する行為主体が問題なのではなく、紛争という事象に着目する事が重要なのだと問題提起している点で興味深い。  先にあげた「下からの平和構築論」では、本来、中心的な主体である紛争地の人々を平和構築では――その議論が過度に専門的、行政手続き的になっている事で――むしろ客体化しているのではないかという批判があって、紛争地域の人々を中心に位置づけて、彼らの積極的に自律的な平和構築を行うべきだという議論で、客体か主体かという違いはあっても、既存の平和構築の議論を俎上に載せる傾向がある。  これに対して評者などが取組んでいる平和構築の事例として扱われないような国際社会の関与しない紛争事例における当事者の平和定着の試みを再考するという議論は、平和構築という学問領域そのものから抜け出し、ここに対して「君らが平和構築は国際社会の責務だとしながらも、実際には黙殺され、無視し存在すらしなかったように扱っている事例がある」と批判理論的に問題を提起する立場である。評者自身は、批判理論というよりは単純にそういた事例からも平和構築研究者は学ぶところが多々あり、こうした議論も無視すべきではなく、また自分たちが取り上げていない議論が重要な問題を提起している事も直視すべきであるという主張である。  これに関して本書は、紛争そのものが紛争移行国の国家建設に与える正の影響や役割についても負の影響や役割と共に事例的に考えてみようという問題提起で面白い。  だが、面白い着眼点ゆえに不満も非常に大きく、冒頭のこうした問題意識を理論的にまとめる努力をきちんとしていないし、結局、各章の論文は個別の執筆者が自身の研究対象地域にフォーカスしてなんやかんや言っている印象が強く、せめて理論枠組みを抽象的にでも冒頭に提示して、これを共有した上で議論を展開して欲しいし、結論部分でも「以上の議論からこうした問題提起ができる」という形にして欲しい。  導入部での期待が大きかっただけに、読み進めれば読み進める程、消化不良で不満が募ってしまう。各論もそれなりに面白いのだから、余計に「ただの論集です」で終わってしまっては勿体ないのだが・・・。  全然関係ないが、例えば東大社研で2011年に刊行された『構造と主体』という論集を参考にして欲しい。この論集では、最後にきちんと理論的枠組みからそれぞれの論文をまとめており、こういう形で提示できれば、論集自体の価値も高まると評者は切に感じている。

Posted by ブクログ

2012/04/06

1991年以降、実効的な領地統治をおこなうことができる政府の不在が継続的に存在している点が、国家としてのソマリアのあり方の大きな特徴となっている。ソマリアを崩壊国家として位置付けるのは国際政治学の中心概念の1つである主権が問題化されている状況としてソマリアの提起する課題を提示しよ...

1991年以降、実効的な領地統治をおこなうことができる政府の不在が継続的に存在している点が、国家としてのソマリアのあり方の大きな特徴となっている。ソマリアを崩壊国家として位置付けるのは国際政治学の中心概念の1つである主権が問題化されている状況としてソマリアの提起する課題を提示しようとするものであった。 ソマリアでは政府不在の状況でビジネスマンが流通、通信、送金、運輸などの分野で経済活動にかかわり、その一部は明らかに通常は政府が担う部分まで食い込んでいる。 アフリカをはじめとした弱い国家や脆弱国家が存在していると考えられてる地域でも現実に生起してきた国際関係のあり方との連続性を有しているとみることができる。

Posted by ブクログ

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