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スラムの経済学 フィリピンにおける都市インフォーマル部門
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 1991/07/04 |
JAN | 9784130460422 |
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スラムの経済学 フィリピンにおける都市インフォーマル部門
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開発経済学におけるインフォーマル部門の説明は、ルイスの二重経済論に根ざしたものがほとんどである。 すなわち、一国の経済を伝統と近代の二部門に分け、伝統部門の労働力が余剰である限り、近代部門への移動弾力性は無限になるという理論であり、インフォーマル部門の形成とは、近代部門に吸収され...
開発経済学におけるインフォーマル部門の説明は、ルイスの二重経済論に根ざしたものがほとんどである。 すなわち、一国の経済を伝統と近代の二部門に分け、伝統部門の労働力が余剰である限り、近代部門への移動弾力性は無限になるという理論であり、インフォーマル部門の形成とは、近代部門に吸収されなかった労働力が偽装失業という形で顕在化したものである。そこでの市場は完全競争的であり、近代部門に比較すると低賃金である一方で、参入障壁がないというのが一般的な見解であった。 だが、本当にそうなのだろうか。筆者自身がフィリピンのスラムに住み込みながら研究し、従来のインフォーマル部門に関する学説を修正しようと試みる。 彼の主張は、インフォーマル部門における多様性である。従来の理論のように大枠で捉えたのでは、インフォーマル部門が持つ複雑性を理解することはできない。 例えば、インフォーマル部門のなかにも賃金や社会的地位によって、階層化された労働市場が存在する。仕切り場は比較的賃金が高いが、廃品回収人は低賃金の労働を強要されている。当然、前者の方が参入障壁は高い。 また、以上のようなネットワークによって形成された、パトロン=クライアント関係や、居住者の血縁関係によって、競争メカニズムが有効に作用しない。情報の不完全性から生じる危険を会費するための、相互利益的な人間関係によって強固なものになっているのである。 以上のように、従来のインフォーマル部門の修正を試みた本書は、これからの途上国発展のメカニズムを解明するのにかなりの貢献をしたと思われる。ルイスの二重経済論は批判されたものの、一般的に開発途上国では農村の割合が大きいからである。 疑問としては、本書におけるフィリピンの一スラムの研究を、途上国全体に一般化することができるのかということである。例えば、血縁関係における多様性は、島によって分断性が高いフィリピンならではの仮説ではないだろうか。他のインフォーマル部門の研究と比較したのち、この答えも明確になるだろう。 また、このようなネットワークを崩さずないような有効な支援の方法とは何だろうか。開発途上国の発展にとって、インフォーマル部門や伝統部門の発展は必要不可欠であるが、上記のようなネットワークが存在する以上、それに気をつかう必要があるだろう。この視点は開発人類学の発展によって、その注目を集める必要があるだろう。
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