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十蘭レトリカ 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2012/01/10 |
JAN | 9784309411262 |
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十蘭レトリカ
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商品レビュー
3.9
9件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
初めての久生十蘭。短〜中編集。 パリに留学中の貧乏学生お嬢さんが振袖でカジノに乗り込み一攫千金を狙ってすってんてんになる「モンテカルロの下着」目当てで買ったけど、他も全部滅法面白い。 小説がうまい。 良くも悪くも肝の座った/意地を通す人間がたくさん登場するのが収録作の共通点かな。読後、なんとなく爽快。
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「胃下垂症と鯨」「モンテカルロの下着」「ブゥレ=シャノアヌ事件」「フランス感れたり」「心理の谷」「三界万霊塔」「花賊魚」「亜墨利加討」の全8作品。お試し感覚で読んだ久生十蘭の一冊目が、本当にこれで良かったのだろうか。決して読みやすくはないが、どれも癖になる味わい。とくに難航路の河...
「胃下垂症と鯨」「モンテカルロの下着」「ブゥレ=シャノアヌ事件」「フランス感れたり」「心理の谷」「三界万霊塔」「花賊魚」「亜墨利加討」の全8作品。お試し感覚で読んだ久生十蘭の一冊目が、本当にこれで良かったのだろうか。決して読みやすくはないが、どれも癖になる味わい。とくに難航路の河川を遡る「花賊魚」は、船乗りの限界に挑戦するような航河の様子と、それに乗船している老女将やすの凄さに引き込まれた。
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再び久生十蘭の短編集、今度は河出文庫で数冊に渡って出版されたセレクション。 終戦前の作品が8編収められている。本巻の最初の2編は1927(昭和2)年、1938(昭和13)年に発表されたものだが、あまり良くなかった。あれ? こんなものかな?と思ったが、楽しいユーモア小説「フラン...
再び久生十蘭の短編集、今度は河出文庫で数冊に渡って出版されたセレクション。 終戦前の作品が8編収められている。本巻の最初の2編は1927(昭和2)年、1938(昭和13)年に発表されたものだが、あまり良くなかった。あれ? こんなものかな?と思ったが、楽しいユーモア小説「フランス感れたり」(1941《昭和16》年)から後のは、やはりどれも良い。ドタバタコメディのような「心理の谷」(1940《昭和15》年)、どんどん話が広がって迫力ある冒険小説となる「花賊魚」(1942《昭和17》年)、骨太な物語性が菊池寛を思わせるが、闊達極まりない人物の台詞(江戸っ子ことば?)の遊戯が独自の魅力を放つ「亜墨利加討」(1943《昭和18》年)など。 バラエティに富んだ諸編はそれぞれが確固とした小宇宙をしっかりと構築していて隙が無い。全く以て巧みな小説家であり、抜群の品質を誇る完成度の高い工芸品のような作品たちだ。 作風をどんどん変えるという点は「カメレオン」というよく使われる形容を想起させる。カメレオンと言えばピカソやストラヴィンスキー。しかしこの両者は、様々な様式を手がけつつも、それぞれにおいて作者独自の代えがたい体臭のようなものが作品にはにじみ出て、紛れもない個性がその都度刻印されているのが印象的なのだが、久生十蘭の場合はそのような強烈な体臭を感じさせない。十蘭自身が控えめで穏やか、常識的な人物であったからだろうか? 巧緻を極めた工芸的作品を通して、浮かび上がるものはあまり強烈なものでない。そこが何となく不満に感じている。
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