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巴里茫々
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2011/12/21 |
JAN | 9784103062370 |
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巴里茫々
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
北杜夫が他界したあと、当然のように本屋に並べられた一冊なのですが、購入こそしたものの読む気になれず、そのままにしていました。 そんなある日、帰省先に新しくできた図書館を見学がてら利用していると、覚えのある装丁の本をみつけ、その場で読み終えてしまうというへんてこな末路をたどった本で...
北杜夫が他界したあと、当然のように本屋に並べられた一冊なのですが、購入こそしたものの読む気になれず、そのままにしていました。 そんなある日、帰省先に新しくできた図書館を見学がてら利用していると、覚えのある装丁の本をみつけ、その場で読み終えてしまうというへんてこな末路をたどった本です。 少しまえに「幽霊」と「木精」を読んでいたので、氏の作品にときおり現れる追憶、ほとんど夢にちかいところをおぼつかない足取りで歩きながら時間を超える手法、と勝手に私がそう呼んでいるだけの書き方に慣れていて、今回も意識の流れだけを追うように読んでいたのですが、少しまえに晩年の著者のモノクロ写真をみたせいか暗い印象がつよく、読了感はあまり良いものではありませんでした。 もちろん、単語の選び方と文章の綴り方はいつもの北さんで、もっと春先か秋口あたりに窓の開いた部屋で読めば印象がかわったものと思います。 春先より、秋口か。いや、どちらでも良いのです。
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静かに過去を反芻する「私」。過去は夢のように浮かび上がり、現実のものともつかなくなる。 「カラコルムふたたび」のメルバーンとの再会で、メルバーンが昔のように快活な男ではなくなっていたのが印象に残る。
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一家三代の興亡を綴った『楡家の人びと』で知られる作家は、追憶の中に浮かび上がる小説二編を残した。どちらも躁鬱病が見させる夢のよう。初単行本である。 「夢であることは初めからあらかたわかっていた」と表題作は少し謎めいて始まる。主人公の「私」は、熱狂する人びとに交じり「ラ・マル...
一家三代の興亡を綴った『楡家の人びと』で知られる作家は、追憶の中に浮かび上がる小説二編を残した。どちらも躁鬱病が見させる夢のよう。初単行本である。 「夢であることは初めからあらかたわかっていた」と表題作は少し謎めいて始まる。主人公の「私」は、熱狂する人びとに交じり「ラ・マルセーエーズ」を熱唱していた。高揚と異国情緒にいざなわれ、思い出されるのは、兄のように慕う辻邦生夫妻を巴里に訪ねて行った日々。夢中で勉強をつづけていた辻はトーマス・マンの「ブッデンブロオクス」の一節ずつを書き抜いたカードを見せ、マンの創作技法を詳しく語り、「私」は連れ込み宿風の安宿に泊まったのだ。 ところがそんな回想をしているうち、気がつくと、「私」は90を過ぎた老体となり、巴里のカフェに坐っている。辻夫妻をさがすが見当たらない。目の前の原稿用紙には、堕落と惰性に満ちた自身の過去が記されていた。そしてオーバーには初恋の人の手紙が──。記憶をたよりに紡がれる郷愁に胸が圧しつぶされそうになる。 (「週刊朝日」 2012/03/23 西條博子)
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