雉猫心中 新潮文庫

井上荒野【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2011/11/29
• JAN: 9784101302553

商品レビュー

2020/10/17

井上荒野さんの書く文章が好きで片っ端から読んでいた時があり、ちょうどその頃文庫本で発売されていたこの本を手に取ったけど、今までの荒野さんと何か違って途中で読むのを止めてしまっていた。何年か経ち再び手に取って一気に読みました。
陰鬱な気持ち悪さが漂っていて、不倫の話だけどロマンや切なさは全くない。そして、不倫の話と見せかけて本当はお互いの夫婦の話なのかもとも思った。「夫婦」というものを「不倫」という調味料を使って淡々と、しかし大胆に突き付けられているような感じだった。二人には全く共感できなかったけど、それぞれが妻、夫に対する感情(特に晩鳥が妻に対する感情)はなんとなく理解できた。

2016/01/25

雉猫に導かれるように出会った男と女。落ちるべくして落ちた泥のような官能の世界。
同じ出来事が女目線の「おわりのはじまり」、男目線の「はじまりのおわり」という二つの章で語られる。
男も女も身勝手で、短絡的で、幼稚。女の中学教師の夫も、男の妻も、近所の老人も、中学生も登場人物の全てが不気味で不快。
「誰よりも美しい妻」で感じた心地よさ、読後の余韻がこの作品では感じられなかった。

2014/08/09

廃品回収の車が、ご不要になった、、、愛人は大貫知子のもとへ。

と、序章で。
不倫の話かとおもったら、不倫の出来事を女の記憶から、男の記憶から、かきすすめられていて、二人読んで始めてがってんがいく。

甘美な不倫というより、内面を怖くかきあげていた。