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蝸牛抄
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楠顕秀【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 桂書房
発売年月日 2011/10/01
JAN 9784905345145

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2012/06/26
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著者は東大卒業後、高校教諭を皮切りに校長、美術館長、富山県教育委員長を務められた楠顕秀さん。 ご本人は何度も刊行のお誘いを受けながら、今更改めて発表する価値もないものとお断りしてきたとのこと。今般、断るのも発表の機会を与えようとしている皆さんに礼を失すると一転翻意され、ついにこのたび世に出ることに。ふらりと手に取ったが一気読みだった。発表する価値もないなどと謙遜するのも大概にせよと言いたくなるような秀逸な出来栄えであった。血気盛んな若かりし頃のものから凛とした静謐を感じさせる現在ものまでが一堂に収められている。 氏の聊かもぶれない志操堅固な一本道、該博な教養から滴り落ちる見識にただただ敬服するばかり。氏の虚飾のない温かな人間性に私淑。 1.氏の尊敬するというお二人の方の詩が掲載されている。「竜デナイワタシニモゲキリンガアッテスグハラヲタテル。」「父ノトシヲ二ツモコエ、母ノトシヲ三十四モコエマダダレモ生キタコトノナイコノマッサラナ年ヲ迎エサセテモラウマバユスギル一生懸命イキサセテモラウ以外ナイ。」これだけで十分凄い。なのに、この後もっと凄いコメントがついてくる。 2.中学生の娘との親子げんかで竹の棒を取っておどかしたところ、負けずに蹴り返され、何だとばかり彼女の尻に一打をくらわせた。自分のしていることは十分見えているつもりであったが、いささか逆上気味であったことは否定できない。逃げていく彼女を追う自分に母の「それでやめとかれ。子供ちゃ、そんなもんや」の一言。どんな心理学者の反抗期の指導という項目を探しても見つけることのできない一言。子供を自分の思い通りにしようとした思い上がり。「子は授かりもの」が分かっていなかった。その娘も今は、この愚かな父にいたわりの言葉さえかけてくれる。家庭教育とは建前論ではなく、親と子が傷つきながら共に進んでいく切ない道。 傷つけることを恐れている自分がとことん恥ずかしかった。 3.生徒向きに書かれたものなので稚気を容赦いただくこととしてと前置きのうえ紹介された卒業式辞の一節 「どうか今後の人生のいろいろな経験を通じて、どんなに汚辱にまみれようと、どんなに生き恥じをたらそうとも、堂々と胸を張って、凛々と生き抜くことのできる逞しさを養って下さい。たとえ他の一切を失ったとしても、生きるということはそれだけで素晴らしい恩恵です。」心にしっとり響く。まさに至言。泣かされたり噴き出したり。久しく忘れていたものにそっと触れることができたような感慨を覚えた。

Posted by ブクログ

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