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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2011/11/05 |
JAN | 9784000258241 |
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商品レビュー
4
7件のお客様レビュー
関川夏央は、100冊以上の文庫本の「解説」を書いている。本書は、その「解説」の中から24篇を選んで、1冊の本にしたものだ。本書には、続編である「解説する文学Ⅱ」もある。 本書のハイライトは、司馬遼太郎に関しての部分であろう。 まず、「司馬遼太郎全講演[1]1964-1974」と...
関川夏央は、100冊以上の文庫本の「解説」を書いている。本書は、その「解説」の中から24篇を選んで、1冊の本にしたものだ。本書には、続編である「解説する文学Ⅱ」もある。 本書のハイライトは、司馬遼太郎に関しての部分であろう。 まず、「司馬遼太郎全講演[1]1964-1974」という本に対しての解説がある。次に、「司馬遼太郎対話選集」、「翔ぶが如く(十)」の解説があり、最後は、司馬遼太郎の奥様が、司馬遼太郎が亡くなった後に書かれた作品、「司馬さんは夢の中2」に対しての解説がある。 圧倒されるのは、「司馬遼太郎対話選集」である。 「司馬遼太郎対話選集」は実は10巻構成になっている。対談の量もすごいが、対談の相手も、当時の日本を代表する知識人たちだ。司馬遼太郎は、これらの人たちと堂々と対談を行う。そして、対談の背景や内容等について、関川夏央が「解説」を加える。司馬遼太郎の知的レベルの高さ、博覧強記ぶりには驚かされるが、それを解説する関川夏央も相当なものである。 本書の表紙の裏に、本書の紹介が以下のようになされている。 【引用】 作家の実人生とその時代精神とが交錯、反響し、ひとつになる場所で文学は生まれる-そのようなものとして読み解くとき、作家も作品もこれまでとは違った相貌を現わしはじめ、その読み解き自身もまた、歴史と現在とを切り結ぶひとつの文学となる。 【引用終わり】 上記を前提とすれば、「解説」は従って、「作家の実人生」や作家が生きた「時代精神」などについて触れる必要がある。それが、作品を理解・鑑賞する助けとなるのだ。関川夏央が本書に書いている「解説」は実際にそのようなものであった。
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著者の書く文章からは確かな温もりを感じる。俗に言う「美文」「名文」ではないかもしれないが、ヒューマンタッチであり他人を単なるデータや素材として捉えていない誠実さを感じるのだ。私自身がこれまで読めていなかった作家ばかりを「解説」した本書はしたがって堪能できたとは言いづらいが、しかし...
著者の書く文章からは確かな温もりを感じる。俗に言う「美文」「名文」ではないかもしれないが、ヒューマンタッチであり他人を単なるデータや素材として捉えていない誠実さを感じるのだ。私自身がこれまで読めていなかった作家ばかりを「解説」した本書はしたがって堪能できたとは言いづらいが、しかし著者のハードボイルドな職人魂・職人気質は好ましく感じられる。個人的な好悪を判断の材料に入れていないところも素晴らしいと思う。が、悪く言えば男臭いというかオヤジ臭い本でもある(重箱の隅をつつくような感想で恐縮です)。渋い仕事を読んだ
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関川夏央は嫌いじゃない。文庫の解説を集めたこの本を手に取った理由もそこにある。パラパラとページを見て驚いた。読んだことのある文章が、結構たくさん並んでいる。 ふつう、解説は最後に読む。 「ふーん、なるほどね。」 自分はもう読み終わっているわけだから、いろいろ書かれていても...
関川夏央は嫌いじゃない。文庫の解説を集めたこの本を手に取った理由もそこにある。パラパラとページを見て驚いた。読んだことのある文章が、結構たくさん並んでいる。 ふつう、解説は最後に読む。 「ふーん、なるほどね。」 自分はもう読み終わっているわけだから、いろいろ書かれていても、よほどの場合以外そういう調子で読み終える。メインは今読み終えた作品の方なのだから。だからかなりの文章以外は記憶に残らない。関川の文章は何故記憶に残っているのか。 第一章は時代の中の文学とでもいう描き方で座談会や平野謙の藤村論に対する解説だが、たとえば「島崎藤村」の解説では平野謙の周辺の本多秋五や花田清輝、藤枝静男たちの、発言や振る舞いを一筆書き的に引用する手管こそが面白いわけで、文庫として読み終えた作品とは別の興味を惹かれてしまうことになる。それがいいのか悪いのかは一概に言えないが、関川のスタイルがそうなのだから仕方がない。 本書のメインは180ページにわたる司馬遼太郎に対する解説。圧巻は、おそらく編集にもかかわったと思われる「対談選全十巻」に及ぶ連続解説。数えてはいないが司馬が対談した相手は、この選集だけで50人を超えるだろう。関川は、その50人を超える対談相手の、いわばポルトレを丹念に描き続ける。これが抜群に面白い。司馬自身に対する言及は、むしろオーソドックスなのだが、相手を描くことで、際立ってくるものがある。それが関川流。 もっとも、読み終えてみると、山田風太郎と竹中労を解説した二作が一番気に入っったわけで、理由は簡単で、ここにはかなり正直な関川夏央本来の好みが露出していると感じたからだ。 あんまり芸にはしるとくどいと感じることもあるのだ。
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