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GINZA しあわせ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2011/10/28 |
JAN | 9784062172615 |
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GINZA しあわせ
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銀座の老舗店主たちのポートレート。長年銀座に棲みなれた人たち。粋でおしゃれで品があって、でも威張っていない。長い歴史が作り上げた〝味〟
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少年時代、よく銀座の街をほっつき歩いていた記憶があるが、いつも一人の記憶だ。とぼとぼと路地という路地をほっつき歩き、時間になると映画館へ入る。あの時代は銀座・日比谷・有楽町の映画館でプログラムを買うと、表紙に劇場名がエンボスの金文字で彫り込まれていて、プレミアム感があった。べつ...
少年時代、よく銀座の街をほっつき歩いていた記憶があるが、いつも一人の記憶だ。とぼとぼと路地という路地をほっつき歩き、時間になると映画館へ入る。あの時代は銀座・日比谷・有楽町の映画館でプログラムを買うと、表紙に劇場名がエンボスの金文字で彫り込まれていて、プレミアム感があった。べつに他人に自慢できる品というわけでもないが、それでもときどきは買った。一人で外食する楽しみを最初に覚えたのも中学時代、東銀座のナイルレストランにおいてである。風邪をひいた身体で銀座へ出かけ、『地獄の黙示録』を見終えると発熱していて、ふらふらとビルの壁に掴まりながら歩いたりもしたのも印象深い思い出だ。 まあそんな些末な極私的記憶はともかく、銀座という街は、いまも昔も人を晴れやかにする空気が流れている。銀座はさまざまな作品に登場し、手垢にまみれたモチーフのはずであるが、パリなどと同じくモチーフとしての耐性は尋常ならざるものがある。 篠山紀信がこのたび、銀座の老舗を撮った。現代日本の写真家で一番偉い人は、なんだかんだ言って篠山紀信である。この人の撮る作品が、放射するエネルギーという点でも単に技術力という点でも他の追随を許さないことは、どこにでも転がっている彼のヌード写真を見れば明らかだろう。 すごい篠山のすごくない写真集『GINZA しあわせ』(講談社)。このすごくなさ加減に、なんとも言えない安逸感が漂う。銀座の老舗とその経営者たちにカメラ目線で笑顔をたたえさせながら撮りあげた30枚ちょっとの写真。そこには、浅薄な才気や自我をまったくまとわないことを体得した商人たちの自信に満ちた微笑が写っている。私のような育ちの人間には、一生かかっても出せない微笑である。 登場する30軒あまりの店とそこの人たち。このうち私が出入りしたのはせいぜい日動画廊、Miyuki-kan、うおがし銘茶、銀座とらや、和光、伊東屋くらいか。クラブも料亭もテーラーも無縁の人生であるが、これはしかたがない。うおがし銘茶の茶は亡父が生前好んでいたため、以前はよくこの店の茶葉を買ったし、そんな誼(よしみ)もあって父の四十九日の香典返しにこの店で贈答セットを見繕ったりもしたが、最近はめっきり買わなくなった。ようするに、茶葉を買いにわざわざ銀座に足を運ぶ余裕みたいなものがなくなったのであり、そんな細部から人は変わっていくということだろう。こんど、二葉鮨の暖簾をくぐってみようか。写真に写る内装も店主夫妻の笑顔も素敵だから。
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