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地政学の罠に嵌った日本近現代史 明治・大正編 国難を乗り切った“悪の論理"
定価 ¥2,530
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 泉文堂 |
発売年月日 | 2011/07/01 |
JAN | 9784793001413 |
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地政学の罠に嵌った日本近現代史 明治・大正編
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本書は地政学の観点を意識しつつ近現代の政治・軍事史を見直したものである。 序章で地政学のイロハを日本の場合に具体的に当てはめつつ概説(主にマッキンダーの地政学、スパイクマン地政学に依っている)しているが、地政学とはそもそも何ぞや?という読者にとっては説明不足の感が否めないた...
本書は地政学の観点を意識しつつ近現代の政治・軍事史を見直したものである。 序章で地政学のイロハを日本の場合に具体的に当てはめつつ概説(主にマッキンダーの地政学、スパイクマン地政学に依っている)しているが、地政学とはそもそも何ぞや?という読者にとっては説明不足の感が否めないため、「地政学」を主題にした書物を多少目を通しておく程度の前提知識があったほうがよいと思います。 第一章~四章にかけての本書の大部分は、日清戦争・日露戦争・日韓併合・第一次世界大戦の出来事を中心として歴史の教科書を紐解くような記述にはなっていますが、その随所に「地政学的な観点からの著者の批評」が加わるスタイルとなっており、地政学的にはどうであったのかを読む要領になります。ただ、「歴史事実」に関する記述は他著からの引用が多く特に以下の著作に依る部分が大きい 岡崎久彦『小村寿太郎とその時代』1998年 PHP研究所 『陸奥宗光とその時代』1999年 PHP研究所 加藤陽子『戦争の日本近現代史』 2002年 講談社現代新書 崔文衡 『日露戦争の世界史』 2005年 藤原書店 渡辺利夫『新・脱亜論』 2008年 文藝春秋 ”地政学の罠に嵌った”とは何を指して言っているのか?著者の主張は日本が地理的には海洋勢力の立場であることを自覚し、大陸政策に深く関与しない(大陸勢力化しない)でおくべきだったと言うことになるであろうか。 明治以来の安全保障の悩みの種は朝鮮半島にあり、半島地域が敵対的国家による勢力圏に陥った場合に日本の安全保障は万事休すになるという意識のもとに組み立てられてきたことに端を発するのである。その為、朝鮮半島がその危険から回避された状態を維持できれば日本はそれに満足すべきであるにもかかわらず、半島を自国領に編入する政策を実行した為、安全保障の考慮すべき領域がその外、すなわち満州に拡大したわけである。このようにして安全保障考慮地域が外へ外へと拡大していくと目先ばかりの問題に忙殺され、国力の限度を見誤って破滅するというアリ地獄が起こりうる。これを”地政学の罠”の1つと捕らえています。 さらに、目先の安全保障的観点からのみならず、地球全体を俯瞰し、長期的なスパンに立って戦略的に安全保障を考えた場合、海洋勢力国家は大陸勢力国家が一枚岩の超大国になって(要は大陸内部で競合相手・大陸国家同士の敵対勢力のいなくなった安定状態)、大陸沿岸から海洋に覇を求めるときが海洋勢力にのって危急存亡の事態になる(モンゴル帝国が博多に押し寄せたことも一例)という地政学的な理解の下に安全保障を思慮したならば、太平洋を西進してくるアメリカを「亜細亜への侵略的勢力」と捉える視点以外に「海洋勢力の盟友」と捉えることも可能だったと指摘。日露戦争後のハリマンの満鉄共同経営の提案を受け入れることが千載一遇の日米同盟の契機たりえたにもかかわらず「日本人が血を流して獲得した成果を資本だけで濡れ手に粟をするような提案は拒否する」という感情的観点から判断してしまったことが”地政学的判断”を欠いた失敗だったのではないかと考えている。この大局的観点からの判断ミスが”地政学の罠”に関する二点目であろう。 その他、随所に”地政学的”観点からの考察洞察はありますが、おおよそ”地政学”を意識した書でなくても歴史書ならば類似の指摘をしている切り口が多く、まったくの真新しい指摘があるとは思えませんでした。ただ、”地政学的視点”を意識して近現代史全般を俯瞰し再発見するという意義は達成しているのではないでしょうか。
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