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詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下) 光文社古典新訳文庫
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詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下) 光文社古典新訳文庫

トーマスマン【著】, 岸美光【訳】

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詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下) 光文社古典新訳文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2011/10/12
JAN 9784334752378

詐欺師フェーリクス・クルルの告白(下)

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商品レビュー

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2024/02/20

 原著1954年刊。  トーマス・マン(1875-1955)が35歳で書き始め、永らく中断して書き終えたのは何と79歳。  このインテリジェントな(大)作家については、北杜夫さんを通して畏敬の念を持ちつつも、近年は全く関心を寄せることなく、『ブッデンブローク』あたりも結局読んでな...

 原著1954年刊。  トーマス・マン(1875-1955)が35歳で書き始め、永らく中断して書き終えたのは何と79歳。  このインテリジェントな(大)作家については、北杜夫さんを通して畏敬の念を持ちつつも、近年は全く関心を寄せることなく、『ブッデンブローク』あたりも結局読んでないのだが、最近になって「トリックスター」への興味から、山口昌男さんの著作に本作がたまに言及されているので気になり、中古で入手した。  少年時代から誰にでも化けてしまう(演技する)天才的な特技を持つ主人公クルルの遍歴を描く。やたら女性にもてる外観と洗練されまくった身ぶり(演技)を持っているのがミソ。  が、本作は完全に「未完作」である。35で書き出して79歳までいったい何をやっていたのか。どうしてそんなに気にくわない物語だったのに、晩年になってこれの「第1部?」を書き継いだのは何故だったか。  読んでいくと「これについてはもっと後で・・・」というような様々な伏線がそのままで中絶してしまうし、更に物語は膨らんでいくだろうと期待させられるのに、非常に中途半端なところで終わってしまうのがこの上なく残念である。  もっとも読者がこの先「こんなふうに展開していくだろう」と予測できてしまうあたりに、老トーマス・マンはうんざりしてしまったのか。  なるほど、逸脱しつつ他者、主に女性を翻弄してゆくクルルはトリックスター的な傾向を示している。ただ、トリックスターという役柄は、本来、本人のモノローグのかたちでは発動されないはずだろうという気もするし、際限の無いトリックスター的「いたずら」を延々と書けばもの凄く長大な小説になってしまうだろうと思われ、到底書き切れないことに気づいてうつむく老マンの表情が想像されて、同情を抱かされる。  途中で妙な人物「クックック」氏によって開示される即物主義的・進化論的で壮大な宇宙観が本作にはまとまりのわるい長いエピソードとして挟まれるなど、気になる点をあれこれ残して、小説家が去ってしまったことが、いち読者としては悔やまれるところだ。

Posted by ブクログ

2019/06/29

未完の遺作だったようで、出版時は売れたらしい。上巻を読んでからだいぶ時間が経ってしまった。ほんっとにね、クルルのことがいけすかなくてね、なんとか何やっても許される超絶イケメンに変換しようとしたが、こういうタイプの男はなかなかイメージできなく、若い頃のアランドロンに置き換え、なんと...

未完の遺作だったようで、出版時は売れたらしい。上巻を読んでからだいぶ時間が経ってしまった。ほんっとにね、クルルのことがいけすかなくてね、なんとか何やっても許される超絶イケメンに変換しようとしたが、こういうタイプの男はなかなかイメージできなく、若い頃のアランドロンに置き換え、なんとか頑張って読みました。「なんかきゃあきゃあ言ってみたい、そういうの一度もないや」と思ったけど、ギンギラギン辺りのマッチには結構熱中してました。

Posted by ブクログ

2017/05/01

ユングやアーレントなど、ドイツ語圏の本を読んでいるうちに、なんとなくトーマス・マンにたどりつく。 マンは、北杜夫経由で読み出して、高校時代にハマっていたのだが、だんだん重厚長大な感じに疲れて、長らく遠ざかっていた。 光文社ででているエロス3部作?(「ベニスに死す」「だまされた...

ユングやアーレントなど、ドイツ語圏の本を読んでいるうちに、なんとなくトーマス・マンにたどりつく。 マンは、北杜夫経由で読み出して、高校時代にハマっていたのだが、だんだん重厚長大な感じに疲れて、長らく遠ざかっていた。 光文社ででているエロス3部作?(「ベニスに死す」「だまされた女/すげかえられた首」)が面白くて、その勢いで「詐欺師フェリークス・クルルの告白」に進む。 こちらも、なんだかエロスな話しで、面白いです。マンの重厚長大、質実剛健なイメージがかなり書き替えられたな。 この小説は、1910年に構想され、書き始めるのだけど、別の作品のアイディアがでてくると、執筆がとまり、落ちついたらまた書き足す、みたいな感じで延々と書きつがれ、最終的にはマンの最後の長編になったもの(1954年に出版)。というもののお話としては、まだまだ始まったばかりの感じで、最初の構想からみれば、きっと3分の1くらいか、4分の1くらいかな。 本人の健康状態を考えれば、これが最後の作品になるだろうことは十分認識していたはずで、当初の構想の全部を書き上げることはできないことは意識しつつ、最後に書く長編にこれを選んだってのは、なんだかスゴいですね。 そこまでして書かれたこの作品に、人生の最後を飾るみたいな感じはなくて、結構軽くて、エロスがあって、ピカレスクで、楽しいんだよね。 なんだか、マンに親近感を感じた。う〜ん、しばらくハマるかも。

Posted by ブクログ

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