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他者と死者 ラカンによるレヴィナス 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2011/09/02 |
JAN | 9784167801496 |
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26件のお客様レビュー
『パロールについて偉大な思想家たちが教えることはほとんど寸分も変わらない。それは、聴き取る用意のある者、外部から到来することばを解そうと欲望する者の耳にだけことばは届く、ということである。(中略)ただし、誤解してはならないのは、「聴き取る用意のある者」や「外部から到来するパロール...
『パロールについて偉大な思想家たちが教えることはほとんど寸分も変わらない。それは、聴き取る用意のある者、外部から到来することばを解そうと欲望する者の耳にだけことばは届く、ということである。(中略)ただし、誤解してはならないのは、「聴き取る用意のある者」や「外部から到来するパロールを欲望する者」を、決してコミュニケーションに先立って自存する「情報感度の高い実体」として措定してはならないということである』―『第三章 二重化された謎/4 交易と主体』 「レヴィナスと愛の現象学」に続いて内田樹によるレヴィナス解説の二冊目を読む。一冊目の内容が繰り返されている部分もあり少しだけ理解が進んだような気になりつつ読む。誤解を恐れずに物凄く単純化して言うならば「愛の現象学」が、「わたしはここにおります」という言明の底に響く自己の劣後性と退く他者そしてその劣後から生じる有責性について丁寧に辿った著作だとすれば、「他者と死者」は遅れてきたことによる有責性という考えがどのようにレヴィナスの思考として起こったかについて、同時代の思想家ラカンの言葉を手掛かりに、やや精神分析論的に解説を試みた本ということができるように思う。 「ラカンによる」と題されていても、もちろん内田樹によるレヴィナス解説であることには違いはないし、「愛の現象学」がレヴィナス思想の入門編だとすれば本書はその思想の根源を探る応用編との位置付け。ただし、一冊目の何処までもレヴィナスのエクリチュールから読み解くという態度に比べると、二冊目は「語られていないこと」を想像するという踏み込んだ分析も多い。ラカンの語りを沈黙しつつも見つめる「彼ら」の存在(=死者)とレヴィナスの「他者」の意味するところの重なりを示し、ナチスによるユダヤ人迫害という経験を生き延びてしまった二人の、そしてヨーロッパ哲学界全般を覆った「コギト・エルゴ・スム」の徹底した問い直しを読み解く運びは、心理分析のようで(そこが、フロイトの継承者たるラカンによる、という意味ではないだろうけど)判り易い。もちろん、判り易いということが必ずしもいいことばかりとは限らないと用心しながらではあるけれど、「他者」を「死者」と読み代えた時に、事後的に生じる訳ではない「有責性」、すなわちただ自分が遅れてきただけで生じてしまう「有責性」という考えは、単なる倫理観を越えた切迫した感情としての理解を強いて来る。 『普通の人は「現実は簡単で、哲学は複雑だ」と考えるが、実は話は逆である。「現実は複雑すぎ、哲学は簡単すぎる」のである。レヴィナスが複雑なのは、彼が非現実的な思弁に耽っているからではなく、現実の複雑さに対して、他のどんな哲学者よりも「つきあいがいい」からである』―『終章 死者としての他者』 その感覚はフィールド調査やその解析そして経過予想などを繰り返して来た身としては痛いほどよく解る。現実を、敢えて、自然と置き換えて読ませてもらうなら、自然は人間が思考できるよりはるかに複雑で、人が観察している(と思っている)のはプラトンの洞窟の逸話に出て来る「影」に過ぎない。だからといって洞窟を出れば「イデア」を見ることが叶う訳ではないし、永遠に近づけない虹の麓のようなものだからといって追いかけるのを止めてよい訳ではない。不可知を認識しつつ、可能な限り近付いていくしかないのだ。と、またまた卑近なところに引き寄せて読んでしまう。
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読んでからしばらく経つけど、・先生との関わり方 ・意見は戦わせたほうが良い(自分の頭だけで考えて意味ある?) ・死んでいった者へ感じる責任 ・死んでいった者が自分の中に居ること などが忘れずに頭の中で生きている。だんだん意味を取り違えていきそうなので、時々読み返したい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先に死んでいった死者に対して「不当に生き残ってしまった」という罪の意識が贈与のサイクルを生んだり、責任を引き受けるという意識を生む。つまり、死者の誕生と同時に人間が生まれる。
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