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表裏井上ひさし協奏曲
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表裏井上ひさし協奏曲

西舘好子【著】

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表裏井上ひさし協奏曲

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 牧野出版
発売年月日 2011/09/03
JAN 9784895001496

表裏井上ひさし協奏曲

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商品レビュー

3

9件のお客様レビュー

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2018/03/17

以前『修羅の棲む家』を読んで、井上ひさしのDVの凄まじさに衝撃を受けたのだが、同じような内容でまた書いていると知り、なぜ書いたのか気になって読んでみた。普通に考えれば、生活のためだろうし、そういう面はもちろんあるだろうが、それだけではないことが読めばわかる。 ひとつは三人の娘た...

以前『修羅の棲む家』を読んで、井上ひさしのDVの凄まじさに衝撃を受けたのだが、同じような内容でまた書いていると知り、なぜ書いたのか気になって読んでみた。普通に考えれば、生活のためだろうし、そういう面はもちろんあるだろうが、それだけではないことが読めばわかる。 ひとつは三人の娘たちの間に確執を招いてしまった、晩年の井上ひさしへの抗議、というか、娘たちは悪くないのだということを世間にどうしても伝えたいという母心。これは、親としてよくわかる。自分がどう言われようと耐えられるが、元夫の評価が高いせいで、娘たちが悪く言われるのは耐えがたい、事実をはっきりさせておきたい、という気持ちはよくわかる。 それから、井上ひさしとの出会いから別れまでを、実質井上ひさしのプロデューサーであった立場から、当時の文壇の裏事情も含め、語っておきたいという気持ち。著者しか知り得ない、貴重な記録だと思う。 『修羅の棲む家』のときは、悪く言えば暴露本的なところもあったが、それから年を経て、著者の心にも変化があったことが読み取れる。例えば、家族で食事を楽しむということができなかった(必ず不愉快な言動をせずにはいられなかった)井上ひさしに対し、「考えれば、井上さんは子どもの頃から、そうした家族の食事風景の中にいなかったのだ。そのことを分かってあげるべきだった。(P171)」というように。 読んでいくうちに、井上ひさしも惚れた女房に「お願いだから俺を捨てないでくれ」と素直には頼めない昭和の男だったんだなと思う。それが素直に言える人なら暴力も振るわなかっただろう。 しかし、DVは許されない。特に著者の親の目の前で行われた暴力は、親の心をどれ程傷つけたか。 また、出版社を含め、当時の文壇がとんでもないほど男社会であり、男の悪さは徹底的に隠され、庇い、表に出さないシステムが出来上がっていたことにゾッとする。 井上ひさしは、知性とユーモアがウリだったけど、自分のダークサイドにもっときちんと向かい合ったら、また別の傑作がかけたかもしれないとも思った。(修道院時代のダークサイドを描いた作品が結構いいので。)

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2012/08/28

何が本当で事実かということは本人が係わってくると難しいものだと思う。でも作家の妻がいかに大変かということがよく分かる。そして、つかこうへい氏の優しさにこの本は救われたような気がする。

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2012/06/14

井上ひさしの別れた元妻による、国民的人気作家の知られざる暗い素顔の報告です。ゴシップ的興味で読み始めましたが、かなり屈折した性格だったことがうかがえます。ほとんど陰険な人だったというべきかもしれません。相手を追いつめていく冷え冷えとした言葉づかいに唖然とさせられました。最後には妻...

井上ひさしの別れた元妻による、国民的人気作家の知られざる暗い素顔の報告です。ゴシップ的興味で読み始めましたが、かなり屈折した性格だったことがうかがえます。ほとんど陰険な人だったというべきかもしれません。相手を追いつめていく冷え冷えとした言葉づかいに唖然とさせられました。最後には妻を病院送りにするほどの暴力夫だったことも書かれています。 井上ひさしといえば、ユーモアとあたたかさを感じさせる作風が好きで、何冊か作品を楽しく読みましたし、農的日本の防衛のために闘う笑顔のリベラリストという好印象を持っていただけに、相当ショックでした。読まない方がよかったかなとも思いましたが、人間は複雑な存在であるということを改めて認識できたので良しとしましょう。 著者には同情を禁じ得ませんが、本としての評価は別の話です。作家の心の深奥に迫り切れていないもどかしさと、誤植頻発の粗雑な編集ゆえ、★★としました。それほど売れているようでもないし、(講談社、新潮社、文藝春秋をはじめとして)井上ひさしを無傷で守ろうとする人は、それほど大きなダメージを与える本ではなかったと安堵しているかもしれません。 夫として父親としてどうであったにせよ、偉大な才能の持ち主だったことはまちがいはありません(「ひょっこりひょうたん島」誕生のころの話は読んでいて楽しかったです)。作品は作品として、私はこれからも気が向いたら井上作品を楽しく読むことでしょう。

Posted by ブクログ

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