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ディアスポラ

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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2011/08/05 |
JAN | 9784163807508 |
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ディアスポラ
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商品レビュー
3.6
16件のお客様レビュー
原子力発電所の事故によって住めなくなった日本。日本人は難民として世界各国に離散する。本書には2編の小説が収録されている。最初のディアスポラは国外へ避難した日本人の物語。もう一方の、水のゆくえは、避難せずにそのまま村に残った日本人という対照的な設定である。両方の物語に接点は無い。 ...
原子力発電所の事故によって住めなくなった日本。日本人は難民として世界各国に離散する。本書には2編の小説が収録されている。最初のディアスポラは国外へ避難した日本人の物語。もう一方の、水のゆくえは、避難せずにそのまま村に残った日本人という対照的な設定である。両方の物語に接点は無い。 先ずは、ディアスポラ。避難先を選ぶ事もできないまま、中国に受け入れられたグループはチベットの奥地に強制的に送られた。SFのような設定だが、実際には事故の詳細については全く触れられておらず、むしろ、場所がどこであっても、どんなに環境が変わっても日本人の集団に常につきまとう村社会のような性質が現れる様子が描かれている。描写が冗長で、展開が遅いので、短い小説ながらもだんだん飽きてしまった。結局クライマックスも無いまま、だらだらと後は想像にお任せします・・・とうような終わり方でスッキリしない。と思いきや、次編の水のゆくえを読んで、本編の意味が良くわかった。 一方の、酒蔵を継いだ若い蔵元、放射能によって瀕死の状態のその母、ただひたすら酒造りに身を捧げる一人の杜氏、村のダム建設の反対急先鋒だった老人、そして蔵元の幼なじみで村の公共工事を一手に引き受けていた建設会社の跡取りとその妻子だけが村に残り、そして全ての登場人物である。 皆が去り、また命を落とし、事故以前の全てが無となりながら、誰が飲む訳でもない酒造りに没頭する若い蔵元と杜氏。放射能の危険を顧みず、未完成となったダムを一人で完成させた幼なじみ。自らの存在の意義を確認するかの如く、自らの職業に没頭しながら命を削っていく人達。命の他に残ったのは使い物にもならない醜い日本人特有の社会性。本当に大切なのは何なのかということを考えさせられる小説。
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東北沖地震による原発事故の10年前に書かれた小説。 前半と後半が収録されており、前半の「日本人としてのグリップ」は 何なのか?をユダヤの民と比較した部分は秀逸と感じました。 原発事故を端として「日本人」としてや「日本に暮らすこと」を 各々が身を切るように経験していくのですが、 原...
東北沖地震による原発事故の10年前に書かれた小説。 前半と後半が収録されており、前半の「日本人としてのグリップ」は 何なのか?をユダヤの民と比較した部分は秀逸と感じました。 原発事故を端として「日本人」としてや「日本に暮らすこと」を 各々が身を切るように経験していくのですが、 原発事故というモチーフが現実に起こった出来事と合致することで 最近取りざたされているようですが、 「日本」「日本人」「日本文化」とは何か、どういうことなのか、を 意識的に取り組み言語化しようとするここ数年の動きの流れからみると、 至極ほんわりとした結末ではあります。 つまり、モチーフのどぎつさに対して、結論は声高に歌い上げていない というおとなしい印象が読後に残ります。 原発事故に対してなにか示唆的な物語か?を期待すると 肩透かしにあいますが、 今後自分の生活から自分の答えを見つけようという人には、 やさしいイメージ入門書のように感じました。 それでも読んで損はない良作。
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10年前なら単なる物語だったのかもしれない。 しかし今読むと、この物語が現実になる可能性もあったと全くの絵空事として捉えることができない。 普段なら場面場面で頭の中に音を感じるのだけれど、ほぼ無音で読み終えた。
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