ファーガスン事件 ハヤカワ・ミステリ文庫

ロス・マクドナルド(著者), 小笠原豊樹(訳者)

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 1980/01/28
• JAN: 9784150705091

商品レビュー

2022/10/18

数少ないマクドナルドのアーチャー以外の作品。主人公は弁護士だが時には感情的になるアクティブな紳士だ。
看護師の窃盗から始まる本書は富豪の妻失踪から呪われた血族の醜いストーリーが展開する。
物語は登場人物も多くプロットも複雑だけどだらける事なく読み進める。
結局､マクドナルドに駄作は無いと言うことか？
そうだ!

2022/10/05

ロスマクドナルドの良作。アーチャーものではないものの、登場人物の過去と現在が交錯してラストに近づくにつれてそれらが結びついていく感じが、このあと傑作を続けざまに出す予感を十分醸し出している。

2015/03/12

弁護士ビル・ガナースンを主人公とする唯一の作品。傑作ギャルトン事件を経て、リュー・アーチャーが透明な存在へと変わりゆく直前に、ロス・マクドナルドが躍動する生命感に溢れた本作を著したことは興味深い。過去にとらわれた家族の悲劇を主題としながらも、生まれ来る子どもに光明を見出すという希望に満ちた結末を用意している。緻密に練られたプロット、繊細且つ冷徹な人物描写など、成熟度は増している。孤独なアーチャーも魅力だが、家族への愛を謳い上げるガナースンも素晴らしい。
紛れもない秀作。