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北の天使南の天使 ポプラ社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ポプラ社 |
発売年月日 | 1985/07/01 |
JAN | 9784591020135 |
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北の天使南の天使
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北の天使南の天使
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「青葉学園物語」の前史といえる物語。著者のことばを借りれば「戦争によって天涯孤独となったひとりの少年の彷徨と、それにまつわる人びとを描いた物語」であり、「広島に原爆が投下された、昭和20年8月6日から翌年の2月までを物語の時代背景とし」、事実関係については『広島原爆戦災誌』全5巻...
「青葉学園物語」の前史といえる物語。著者のことばを借りれば「戦争によって天涯孤独となったひとりの少年の彷徨と、それにまつわる人びとを描いた物語」であり、「広島に原爆が投下された、昭和20年8月6日から翌年の2月までを物語の時代背景とし」、事実関係については『広島原爆戦災誌』全5巻を参考にしているという。 近所のKさんと電話で話していたとき、「火と水のちがいはあるけど、今回の震災の津波は、原爆と同じよ、なにもかもがめちゃめちゃになって失われて…ほんとに同じよ」と聞いた。Kさんは、広島の爆心地近くの小学校で被爆し、学校で生き残ったのは自分ともうひとりだけという一人。 私はついこないだ読んだ『北の天使 南の天使』のことをKさんに話した。Kさんはこんな状況を経験したのだと思い、そしていま津波の被災地で子どもたちは全く変わり果てた眺めのなかで生きているのだろうと思った。 ▼まったく変わりはてた眺めだった。 一面のがれきと、焼けて立ち枯れになってしまった木々、くずれた形をわずかにとどめているコンクリートの建物…砂漠のように、河原のようにひらたくなって、黒ぐろとひろがっている。見えるはずのない、いくすじかの川が見える。道路が見える。 みはるかす大地には、まだいたるところに煙がたちのぼり、廃墟の街は乳色にかすんでいた。そのかいまのところどころには、小さな火炎もゆれている。こんかぎり、残された力をふるって、何もかも焼きつくしてしまうまでは消えないつもりだろうか。 たったの一日で、こんなにもかわりはてた広島の街を、孝太は、説明しがたい圧迫感と虚脱感のいりまじった気持ちで見とれている。(pp.44-45) 比治山は広島市の東よりにある標高70メートルの丘陵で、この山が爆風や熱風をさえぎり、比治山地区を火災炎上からまもった。だから町並みはそのまま残ったけれど、場所によってはかなりの被害があった。主人公の孝太は、この比治山にある迷子収容所につれてこられた。 ▼比治山の東と西では、眺めがまったくちがっていた。 皆実町からはるかに遠いはずの西の山尾根が、ずいぶんまぢかに見える。なにもかも破壊されてひらたい焦土となった街は、右手前方の相生橋や、そのむこうの鉄のアーチがついた横川橋まで見とおすことができて、それらの橋も、ここからほんのわずかな距離に思えるほど近くに見える。 だから、がれきのなかにコンクリートの外観だけをのこした市役所の建物も、すぐそこにあるみたいだが、歩いても歩いてもなかなかゆきつかないのだった。(pp.140-142) 孝太は、空襲で避難する際に母ちゃんとはぐれたりしたら、「まっすぐ西へ逃げて、山手川にかかっとる耳きり橋のたもとで待っとれ」と言われていた。だが、母ちゃんとは会えず、救護所から救護所へ母を探しあるいた孝太。迷子収容所にきてからも、ほんとに母ちゃんが死んでしもうたのか、ひょっとして生きとるんじゃろうかと、煩悶しながら日々をすごすのはやりきれず、「いっそ、たしかなさよならがほしい」と思う。「耳きり橋までいって、そこにお母さんがいなかったら、それが、たしかなさよならだ」と孝太は自分のきもちに決まりをつけ、(きょうからぼくも、てんがいものだ)とつぶやいて、焦土の街にふみだしていく。 浮浪児として、なかまとともに街でその冬を生きのびた孝太は、ある日、浮浪児を保護して青葉学園へ向かうトラックに乗る。トラックが耳きり橋をわたりはじめたとき、死んだと思い定めたはずの母への思いが孝太の胸につきあげる。 なぜ、どうしてこんな悲しい別れをしなくてはならないんだ! どうしてこんなむくいをうけなければならないんだ! ぼくが、いったい何をしたというんだ! 青葉学園物語では大学進学をめざしている高校生の島田弘明、なつめ寮の寮長をつとめる佐久間透そして川口耕一が、この物語の迷子収容所では、それぞれ国民学校の4年生、3年生、2年生で登場する。ボータンこと久保田修は4歳、今井恵子は3年生で、弟の和彦は5歳だ。
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