こころ 講談社文庫

夏目漱石(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 1986/02/01
• JAN: 9784061310049

商品レビュー

2011/04/25

　「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部から成ります。前者２つは大学生である「私」の視点から「先生」と「両親」について描かれ、「先生と遺書」では先生の言葉で、先生自身の過去が語られます。
　「私」と「先生」では、一人称の雰囲気が変わります。違う人物なのだから当たり前だと言われればそれまでですが、言葉選びや、その言葉の運び方から、その人物の人間性が見えてきました。語尾などの口調によって人物の特徴を変えることは容易ですが、それだけではない、文章の雰囲気で人物が伝わってくるのです。これを一人の人物が書いているのだから、改めて夏目漱石という人の才能を感ぜずにはいられません。
　「先生と遺書」は、言葉をあまり選んでいないところが良いと思いました。「先生」の感情が濾過されることなく垂れ流されていて、描写があまりにもリアルです。ただ、それが故に情報量が多く、一度読んだだけでは咀嚼し切れませんでした。私のキャパが小さいだけなのですが・・・。
　いずれまた読み直したいと思います。「先生」の遺書を読んだ後で改めて「私」とのやり取りを見ることで、また新たな発見が出来るように思うのであります。

2010/03/01

漱石先生は言葉がカッコイイ！
「私は淋しい人間です」
「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」

文庫は講談社。解説は江藤淳。
「私」には友人がいないということや、「先生」の自殺には私的な動機のみならず「殉死」という公的な動機も合わせ持っている、なんてことは、指摘されなければ気付けなんだ。

『こころ』の最大の謎は、世捨て人みたいな先生が冒頭で鎌倉に西洋人と海水浴に来ているところだと思う。

2008/09/17

昔の名作も読んでみようと、家にあったので改めて手に取ってみました。
けど、落ちは知っていたので、読んでいくうちに、
（ああ、もうすぐK死んじゃう。）
なんて考えながら読んでました。
今度また他の夏目漱石さんの作品に触れてみたいな。