1,800円以上の注文で送料無料

ロコス亭 奇人たちの情景 創元ライブラリ
  • 中古
  • 書籍
  • 文庫

ロコス亭 奇人たちの情景 創元ライブラリ

フェリペアルファウ【著】, 青木純子【訳】

追加する に追加する

ロコス亭 奇人たちの情景 創元ライブラリ

定価 ¥1,210

220 定価より990円(81%)おトク

獲得ポイント2P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 2011/06/30
JAN 9784488070670

ロコス亭

¥220

商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

レビューを投稿

2021/12/09

20世紀、スペイン。三文文士たちが作中人物のモデル探しにやってくる居酒屋〈ロコス亭〉。存在感がなさすぎる男、金満家の物乞い、死に恋した女などのキャラクターが姿を変えながらお互いの物語を縦横無尽に行き来する。飄々としたユーモアで笑わせるメタフィクション連作短篇集。 表面上は上記...

20世紀、スペイン。三文文士たちが作中人物のモデル探しにやってくる居酒屋〈ロコス亭〉。存在感がなさすぎる男、金満家の物乞い、死に恋した女などのキャラクターが姿を変えながらお互いの物語を縦横無尽に行き来する。飄々としたユーモアで笑わせるメタフィクション連作短篇集。 表面上は上記あらすじのように軽く読める明るさがありながら、同時に本作の全体を覆うのは濃い死の影である。開幕の「アイデンティティ」から医者がとある人物に自殺を唆して終わるし、「ネクロフィル」は言わずもがなとして「指紋」の最後でロープを求めるもう一つの意味は…などと考えてしまう。人殺しはもちろん、停電に便乗してマドリードが犯罪大会状態になったり自分の息子をローストする男まででてくるが、露悪的な印象は希薄。それは〈作者〉の注釈によると物語で死んだのは〈作中人物〉であって「ありふれた人形にすぎない」から。つまりこれは人形遣いの顔が見え、血の流れないグラン・ギニョルなのだ。 収録作の後半に進むほど幻想味が強くなっていく。特に、スペインの宣教師に拾われたアジア人移民が清→フィリピン→ハバナを経てスペインに辿り着く貪欲で奇妙な冒険物語「チネラートの人生」が好き。レスリングチャンピオンになった巨漢が転身してサーカスで蝶々を操るという繊細な芸を披露するくだりが美しい。マドリードからバスク地方のキリスト教系学校に転校した少年の皮膚感覚と詩人の最期を描いた「犬の物語」は他の収録作より純文学寄りの構成になっており、ラスト一文の余韻が残る。 解説の風間賢二が類似作にオブライエン『スウィム・トゥ・バーズにて』を挙げているが、わかる!私が連想したのはジャック・ルーボーの『麗しのオルタンス』の語り手と、ダンセイニのジョーキンズ・シリーズの酒場の与太話感だった。ぜんぶがロコス亭で語らう語り手とホセ・デ・ロス・リオス博士の即興話にも思え、ならばメタフィクションと構えずに夢とうつつを往復するキャラクターのから騒ぎを楽しんでしまえばいい。

Posted by ブクログ

2018/04/06

スペインに生まれ、アメリカに移住した批評家が 英語で執筆した短編連作小説。 酒場《ロコス亭》に集う人々の奇妙なロンド。 キャラクターが複数の名前と役柄を 割り当てられたり、 小説内現実と小説内虚構を行き来して 相互に動機付けを行ったりする 追いかけっこの様子は、 まるでエッシャ...

スペインに生まれ、アメリカに移住した批評家が 英語で執筆した短編連作小説。 酒場《ロコス亭》に集う人々の奇妙なロンド。 キャラクターが複数の名前と役柄を 割り当てられたり、 小説内現実と小説内虚構を行き来して 相互に動機付けを行ったりする 追いかけっこの様子は、 まるでエッシャーの騙し絵「描く手」のようだ。 ただ、メアリー・マッカ―シーが 解説「跋」で指摘したとおり、 欄外の作者注=登場人物の不審な行動や 不自然なストーリー展開に対する言い訳は 不要だったのでは。 特に「チネラートの人生」における 残酷な描写に対しての弁解などは、 せっかくの目くるめく眩惑世界の魅力を 僅かではあるが削ぐ結果になっている気がする。 とはいえ、細かい仕掛けを確認すべく、 時間を置いて読み返したくなる一冊 ……かもしれない。 赤の他人だろうと構わず、葬儀があれば駆け付け、 故人の知り合いを装って その死を悼むポーズを取りながら歓喜にわななく、 死を愛好する未亡人の物語「ネクロフィル」は、 単体で短編として「死」「倒錯」といったテーマの アンソロジーに採録されても、 しっくり来そうな面白さ。 彼女自身は時の流れが止まったような家の中で 定期的に「死の期間」を迎えては 極めて完全な死に近い仮死状態に陥り、 また蘇生することを繰り返している―― というのは月経のメタファーか(?) あるいは、彼女はゾンビか吸血鬼か、はたまた……。 ちなみに、タイトルのロコス(locos)は 「狂気」を表すスペイン語らしい。

Posted by ブクログ

2016/11/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スペインの作家さんだそうで。 面白かったです。多分今月のイチオシ。 「ロコス亭」って酒場の常連さんの連作集で、 まあヘンな人ばかり。タイトルのごとく。 なんか頭がグラグラして目が回ります。 ■アイデンティティ 存在感が薄すぎて誰にも気づいてもらえない男。 回避するために狂言自殺を図ったら、それすら人にパクられて。このオチは・・・ ^^; ■ネクロフィル 3人の夫を持った、カタプレシー持ちのドニャ・ミカエラ。タイトルから想像できる通りの内容です。陰惨・・・・ ■犬の物語 「?.春」が圧巻。 −−−午前中のほうが春はよく聞こえる−−− 春に捉えられ絡め取られていくガルシーア。 衰弱した体を、白髪頭を摺り寄せてくるガルシーアに 太陽が降り注ぐ。 身じろぎもせずじっと、ひたすら耳をすましているガルシーア。 神経をやられているのは彼なのか語り手なのか、 それとも・・・・私なのか?

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品