果てなき旅(上) 福音館日曜日文庫

日向康(著者), 本田克己(著者)

• 販売会社／発売会社: 福音館書店
• 発売年月日: 1978/05/01
• JAN: 9784834007213

商品レビュー

2023/07/15

著者、日向康さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

---引用開始

日向 康（ひなた やすし、1925年5月22日 - 2006年9月7日）は、日本の作家。栃木県生まれ。陸軍士官学校卒。
岩波書店で、1977年から田中正造全集の編纂に携わり、田中を描いた『果てなき旅』で1979年に大佛次郎賞を受賞した。

---引用終了

で、本作の内容は、田中正造について書かれています。

それから、本作は、大佛次郎賞を受賞した作品とのこと。
大佛次郎賞は、ウィキペディアに次のように書かれています。

---引用開始

大佛次郎賞（おさらぎじろうしょう）は、朝日新聞社主催の文学賞である。『鞍馬天狗』、『赤穂浪士』、『パリ燃ゆ』、『天皇の世紀』などの小説・ノンフィクション・歴史書で知られる大佛次郎の幅広い業績を記念し、没年の1973年に「作品集」を出版していた朝日新聞社が創設。

---引用終了

2009/12/15

今日は、今から168年前の1841年12月15日、日本の公害運動の先駆者の田中正造が栃木県佐野市に生まれた日。

けっして忘れてはいけない、世界の反公害運動は言うに及ばず、環境問題や住民運動や消費者運動など関連する反対・改革・正常化運動の中でももっとも重要な偉大な人物です。

その直接の著作は、岩波文庫で(1)鉱毒と政治、(2)谷中の思想、という2冊にまとめられていて読むことが出来ますが、本書は田中正造研究の第一人者で田中正造全集全19巻+別巻1巻(岩波書店)の編集者でもある日向康が「可能な限り史実に近い構成をとろうと心掛け」て田中正造の生涯を描いた感動の一大長編傑作です。

49歳で衆議院議員になって60歳で辞職するまで、国会議員としてのすべてを懸たのはもちろんのこと、死の直前まで足尾鉱毒事件・反対運動に情熱を傾けた彼は、財産をすべて反対運動に使い果たして、71歳で亡くなった時には文字どうりまったくの無一文だったそうです。

彼のこれほどまでのパッションは何か?

61歳の時、公判中にあくびをした罪で40日間服役した際に、聖書を読んで影響を受けたそうですが、キリスト者になったわけでもなく、どうしてこうまで自己犠牲を強いてまでも他人のために一所懸命になれるのか?

その答えを知るには、本書を読んでいただくしかありません、悪しからず。