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汽車住宅物語 乗り物に住むということ
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汽車住宅物語 乗り物に住むということ

渡辺裕之(著者)

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汽車住宅物語 乗り物に住むということ

定価 ¥990

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 LIXIL(INAX出版)
発売年月日 1993/03/01
JAN 9784872750317

汽車住宅物語 乗り物に住むということ

¥440

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2015/01/25

住設機器メーカーINAXのメセナ的な取り組みから生まれたのだろうか。50ページもないブックレット的な一冊。 空襲で壊滅的な被害を受けた東京で、人々は劣悪な住環境にあった。防空壕に住んだり、 それこそ雨風をしのぐので精一杯といった態で、本書の写真を見ると土管や漬け物樽を住まいにして...

住設機器メーカーINAXのメセナ的な取り組みから生まれたのだろうか。50ページもないブックレット的な一冊。 空襲で壊滅的な被害を受けた東京で、人々は劣悪な住環境にあった。防空壕に住んだり、 それこそ雨風をしのぐので精一杯といった態で、本書の写真を見ると土管や漬け物樽を住まいにしていた人もいることがわかる。 そのようななか、船を住まいとしていた人たちに丘の上の住居を提供しようと、1952年に都が国鉄から廃客車を買い入れ、住宅として提供した一件が本書の中心になっている。限られた予算のなかの苦肉の策が列車という、本来は「住まい」でないものを住宅にするという動きに結びついた。都や大阪市の交通局が職員向けに用意した廃バス住宅なども同様の事例といえる。著者はこうした事例に転用の力学がはたらいているとする。本来あるべきものがなく、代用できるものがあり、そこに公的な介入がはたらくことで転用が作用するとしている。 こうした例と似ているのか似ていないのか考えてみたいのが「仮設住宅」だ。この言葉、阪神淡路大震災で初めて聞いた。その後、新潟県中越沖地震や東日本大震災でも仮設住宅が用意された。そして、コミュニティが何だとか孤独死がどうだとかいわれている。整然と並んだ、いっそこぎれいな仮設住宅と、本書の汽車住宅やバス住宅の写真を見ると、きれいな「箱」を用意することが何になるのだろうという気がしてくる。 汽車住宅、バス住宅は当初増築禁止だったらしいが、多くの家庭が増改築していたとか。ちょっときれいなまとめのようになってしまうが、転用の場の人々はたくましく、はみ出していく力にあふれていたような気がする。そしてその視点から見れば、仮設住宅は「転用」ではなく、整ったかたちの中に人々は閉じ込められてしまっているといえはしないだろうか。 ところで、本書の最後では、現代の「乗り物に住むということ」として、借金のために夜逃げ同然で車で暮らす一家のニュースを挙げている。実は本書は1993年の刊行。阪神淡路大震災もリーマンショックも経験していない時代のものだ。都市住宅(スペース)をテーマにしたライターとされている著者は、今の住まい事情をどのようにみるだろうか。

Posted by ブクログ

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