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辺境を歩いた人々 さ・え・ら伝記ライブラリー
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辺境を歩いた人々 さ・え・ら伝記ライブラリー

宮本常一(著者)

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辺境を歩いた人々 さ・え・ら伝記ライブラリー

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 さ・え・ら書房
発売年月日 1982/03/01
JAN 9784378018140

辺境を歩いた人々

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2017/04/18

 いやほんと薩摩は鬼だな。  幕末から明治にかけて東北、北海道や千島、小笠原や奄美、沖縄、そして台湾といった辺境を歩いた人々の足取りを追う。書名に掲げられた近藤富蔵、松浦武四郎、菅江真澄、笹森儀助の名を私はほとんど知らなかったのだけれど、「こういう書物でお読みにならなければ、み...

 いやほんと薩摩は鬼だな。  幕末から明治にかけて東北、北海道や千島、小笠原や奄美、沖縄、そして台湾といった辺境を歩いた人々の足取りを追う。書名に掲げられた近藤富蔵、松浦武四郎、菅江真澄、笹森儀助の名を私はほとんど知らなかったのだけれど、「こういう書物でお読みにならなければ、みなさんも一生のうちに、ついにその名をきくことすらない人もあるでしょう」ということなので、まあ私のような人に対して書かれたのが本書なのだろう。  ろくな交通手段もなく、また食糧事情も医療もずっと劣悪な環境で、ほぼ未開の地、あるいは国境の危険地帯をそれでも歩いて見て回った、その情熱がいったいどこから来たのかみたいな話を、冒頭で宮本氏はこうつづっている。 「幕末から明治のはじめにかけて、日本人全体にみなぎっていた、もっと大きくのびてやろうという、わかわかしい情熱とエネルギーのあらわれでもあるでしょう」  本書の初版が1966年、戦後も20年過ぎたあたりで、いわゆる高度成長期に該当するのだけれども、その時期から考えても「わかわかしい情熱とエネルギー」に満ち溢れていた時代がまさにその時期ということなのだろう。  笹森儀助は、千島探検に続いて逆の南方、沖縄の探検を終えたのち、請われて奄美大島の島司に就くが、当時の奄美は鹿児島の商人に支配されていた。そもそも江戸時代から薩摩藩は奄美の黒砂糖を全て買い上げ、自由な売買を禁じていた(違反者は死刑にした)。  独占のため買値は不当に押し下げられ、しかも生活用品は不公平なレートで現物支給されていた。それによって薩摩藩は莫大な利益を上げ、500万両もの借金(関が原で西軍についたことその他諸々に由来する)を20年くらいで返済し、なお100万両以上の余剰利益を得た。  明治になってもしばらくこの総買上制は続いたが、さすがに大蔵省の指導を受けて、藩のあとを継いだ県による支配は一応終わった。しかしこれを島民には知らせず、鹿児島の商人たちと「大島商社」という会社を作り、総買上制をなおも継続させた。この利益は藩の時代を超えるという。  あまりに酷いということで反抗の動きが強まり、明治11年にようやく自由取引が始まるも、各地から集まってきた商人との取引で初めて手にする現金に魅了され、あっという間に借金漬けになってしまい、にっちもさっちもいかないところで笹森がやってきたわけである。  しかし本土の勢力をバックにつけた鹿児島派の妨害も激しく、4年間ではあまり成果も挙げられず、その間に終結した日清戦争で日本の領土となった台湾の探検等に尽力した記録の方が後世に伝わっている。  そんな薩摩藩が琉球に対してやらかした事案についても、まあこちらの方は有名ではあるが本書で触れられているので、その辺の知識を改めて思い返すのもよいかもしれない。

Posted by ブクログ

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