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万の文反古・世間胸算用 完訳 日本の古典53

文学・エッセイ・詩集

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 1984/04/01
JAN 9784095560533

万の文反古・世間胸算用

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2012/07/24

井原西鶴の作品「万の文反古」「世間胸算用」を収録。 原文と現代語訳が同時収録されているため、古典初心者にもなじみやすい編集になっている。 「万の文反古」は、書き捨ての反古紙を、美人人形づくりの職人が再利用しようとしていた中に市井の人々の日常が書き連ねてあったという体裁をとってい...

井原西鶴の作品「万の文反古」「世間胸算用」を収録。 原文と現代語訳が同時収録されているため、古典初心者にもなじみやすい編集になっている。 「万の文反古」は、書き捨ての反古紙を、美人人形づくりの職人が再利用しようとしていた中に市井の人々の日常が書き連ねてあったという体裁をとっている。 西鶴は、市井の人々の本音が書き連ねられたこれらの反古紙を、「これほど見苦しい書物はない」としながらも、そこにある人間のドラマに興味を惹かれたようだ。 ただ、上記のような体裁も、天才西鶴ならではの技であって、手紙自体が西鶴のフィクションという説もあるようだ。 市井の人々の本音が手紙から紡ぎだされた内容を、短編私小説集の体裁をとった西鶴のフィクションという構成なのだろう。 この全十七の手紙であるが、創作された手紙というのを感じさせないほどリアリティがある。西鶴の人間を見つめる眼差しの鋭さを感じると共に、文学の高等テクニックをさらりとやってのけるあたりが凄いと思った。 特に面白かったのが、 父の敵を狙って旅を続ける兄弟が、父の敵とおぼしき相手に巡り会うのだが、情けの心が仇となって敵に逃げられてしまう顛末を書いた「安立町の隠れ家」。 国元に女房を置いたまま逐電し、京都で十七年間に二十三回の結婚と離婚を繰り返した男の手紙を掲載した「京に思うようなる事なし」。 出家した僧侶が、己の色欲を吐露する「桜よし野山難儀の冬」などは、好みの若者のタイプを具体的に書いて知人に手配を頼むといった滑稽な描写が笑いを誘う。 可笑しくもあり、悲しくもある市井の人々の内面を、自然体の筆致で描いているため、手紙の書き手と対話しているような錯覚すら覚える。 「世間胸算用」は、京に住む人々の経済感覚を例にしながら、利殖のありかたを説いた作品。 こちらは現代のビジネス書に通じる、処世術がメインになっている。 西鶴は元禄期に活躍した作家であるが、非常に現代性に富んでいる。元禄時代に人間の滑稽さと悲しさをリアルに描写する偉大な作家が存在していたことに驚くと供に、日本文学の幅広さを改めて再認識した。

Posted by ブクログ

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