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風媒花 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2011/06/14 |
JAN | 9784062901260 |
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風媒花
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1951年、戦後すぐの混乱期、中国では毛沢東と蒋介石の内戦が終わった直後の時代の日本における中国文化研究会の人たちの様子。小説として筋が面白いわけではないが、当時の世相を感じさせる文章が考えさせる。帝銀事件が起こった時代、共産党が暴力革命を志向しているとして警戒されつつ、知識・労...
1951年、戦後すぐの混乱期、中国では毛沢東と蒋介石の内戦が終わった直後の時代の日本における中国文化研究会の人たちの様子。小説として筋が面白いわけではないが、当時の世相を感じさせる文章が考えさせる。帝銀事件が起こった時代、共産党が暴力革命を志向しているとして警戒されつつ、知識・労働者階級の心をとらえていた時代。主人公の峯三郎なる人物がエロ小説家として出てくることに、この当時からそんな言葉があったことに驚き。その内縁の妻?蜜枝その弟・守と恋人桃代などの登場人物に、この不安な時代の臨場感がある。巻末では著者が寺の住職の家族として産まれた背景の紹介も詳細。
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風媒花とは風で花粉を運んでもらう花のことである。小説の最後で一匹の鼠が水に沈められて死ぬとともに、二通の手紙が焼き捨てられる。風に乗って舞い上がるおびただしい灰が、「常緑樹の花粉より生き生きと風に運ばれて」行く。今とは比較にならないほど混迷を極めている日本と中国の関係の中で、様々...
風媒花とは風で花粉を運んでもらう花のことである。小説の最後で一匹の鼠が水に沈められて死ぬとともに、二通の手紙が焼き捨てられる。風に乗って舞い上がるおびただしい灰が、「常緑樹の花粉より生き生きと風に運ばれて」行く。今とは比較にならないほど混迷を極めている日本と中国の関係の中で、様々な立ち位置にある人間たちの群像劇が、拳銃の暴発、青酸カリ混入などの事件を起こし、めまぐるしく絡み合いながら進んでゆく。そんな中でいくつかの文章が書かれたり読まれたりしていくのだが、それが感動的である。病気の少女が繰り返し読み返す、中国に残り中国の発展に尽くす日本人がほとんどひらがなだけで書いた祖国への手紙や、何の教養もない女が国粋主義者の集団に何か書いてみろとせっつかれて何を書けばいいかわからず、とっさに中国を研究している恋人から教えられたので意味もわからず記憶していただけの魯迅の詩をスラスラ書いてしまうシーンなど。 物語を大きく動かす二通の手紙も同様である。手紙は焼いて棄てられるが、花粉は誰の目にも届かない距離まで撒き散らされるだろう。
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繊細な人間描写と、独特な風景把握。淡々としているようで、動きが早すぎる。躍動感を根底に感じる。普通の小説では絶対に用いないであろう、脳の一部分に触れてくる作品。 読後感の充実さで、凄い、と断言できる作品なのだけれど、如何せん、想像力不足、読書量不足で、まだまだ理解できない。なにが...
繊細な人間描写と、独特な風景把握。淡々としているようで、動きが早すぎる。躍動感を根底に感じる。普通の小説では絶対に用いないであろう、脳の一部分に触れてくる作品。 読後感の充実さで、凄い、と断言できる作品なのだけれど、如何せん、想像力不足、読書量不足で、まだまだ理解できない。なにが作者の思いなのか、どうしてこういった動きを見せるのか、分からないことだらけ。この先数年、様々な経験を積んで、人と出会って、感情の機微の引き出しを知ることで、その時どう読めるか。数年後、自分がどう変わったか、きっとこの本は指針となる。 武田泰淳、底が見えない。
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