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小津安二郎名作映画集10+10(06) 彼岸花+東京の合唱 小学館DVD BOOK
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商品詳細
内容紹介 | //付属品~DVD付 |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2011/05/28 |
JAN | 9784094804164 |
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小津安二郎名作映画集10+10(06)
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「彼岸花」は1958年、小津安二郎初のカラー映画。 またもや娘が嫁に行く話ではあるが、今までのとはかなり趣向が違う。 笠智衆は今回脇役で、主役は佐分利信。今までに見た小津映画の中では、この人、愛想がなく高圧的なオヤジであり、私としてはかなり嫌いなキャラクター。この映画でも、そ...
「彼岸花」は1958年、小津安二郎初のカラー映画。 またもや娘が嫁に行く話ではあるが、今までのとはかなり趣向が違う。 笠智衆は今回脇役で、主役は佐分利信。今までに見た小津映画の中では、この人、愛想がなく高圧的なオヤジであり、私としてはかなり嫌いなキャラクター。この映画でも、そんな高圧的頑固オヤジぶりが爆発していた。 会社でも横柄だが、家に帰ると完全に専制君主、磯野波平タイプで、いかにも私の宿敵とも呼ぶべきキャラクターだ。こんなの上司にいたら、毎日ストレスがたまりすぎて発狂しかねない。しかし現在でも、こういうオヤジはたまに存在しているようだ。男も50代過ぎると変に自信ついちゃって、こうなってしまうのだろうか? 怖い、怖い。 会社役員である佐分利信の前ではひたすら緊張して頭を下げ、いなくなると悪口をこぼす部下(高橋貞二)が登場しており、佐分利の立ち位置は明確に対象化されている。さらに、彼の頑固さに傷つけられたり、逆にからかうように巧みに欺いてみせる、若い娘たち。 なにしろ、今回の映画の主人公は、自分の娘に縁談を用意していたにも関わらず、娘が実は恋愛をしていて、いきなり結婚するという話になると、「ゆるさん」と激怒するのである。相手が悪いということもなく、どうもただ単に、自分がお膳立てした通りに事が運ばなかったのでアタマに来たらしい。どうしようもないオヤジだ・・・。 しかし小津安二郎はこの馬鹿オヤジを徹底的にこきおろそうとしているわけではない。いつものように、表情には表れない複雑な思いをうまく描き出してみせる。 最後の方に、同年配の友人たちと旅館に泊まり、詩吟や歌(軍歌?)を楽しむ場面が長々と映される。どうやら戦争に関する詩歌らしい。つまり、彼らは徴兵された世代なのだ。主人公が所属している「場所」がこのシーンにあらわれている。 封建馬鹿オヤジながらも、言うことがやたら矛盾しまくっていても、人間として「場所」に立脚し、それなりに誠実に生きているというわけだろう。周囲には迷惑なヤツだけど。 ところで小津安二郎のカラー映画は今回のが初だが、ドイツの「アグファ・カラー」というフィルムを使っており、あえてくすんだような色彩を出しているらしい。赤もビビッドではなくくすんでいる。 色彩や画面の構図、台詞など、小津映画は凄く人工的な感じがする。しかもその「人工性」はニセモノっぽいわけではなく、ある種の真実感を伴い、まさに「芸術的」としか言いようがない。小津安二郎は能が好きでよく見ていたらしいから、能との親近性もあるかもしれない。 不思議と引き込まれるような、独特の芸術世界。しかもとても「日本的」な気がしている。
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