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制度と再帰性の社会学
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 地方小出版流通センター |
発売年月日 | 2006/05/01 |
JAN | 9784938551889 |
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制度と再帰性の社会学
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
読了したけど理解できたとはいいがたいか。難しいです。 重要な仕事。文体は平易だが、内容は高度。読むのに時間がかかる。制度(と再帰性)という観点から「社会学とは何か?」という問題に答えたものだと最初は思ったが、おそらくは経済学との関係で社会学を位置づけるとどうなるかといった試みなのだと思う。学術書には珍しく、文献を文章中に引用するスタイルをとっていない。これは、理由として流れを重視したとある。全体として、こういうのこそが理論社会学の仕事なのだと思わせる。 ・1章「イントロダクション」。「社会学とは何か?」という質問に対し、著者は「制度の実態・成り立ち・影響について調べる学問」だという。その概念は、階層、家族、ジェンダーまでをも含むことができる、その意味でもっとも便利な概念であるからである。もう一つは再帰性という概念で、これはやや唐突な印象を受けるが、それを取り上げる理由として、①一般の人にはわからない、②経済学にはない、③社会理論の政策的有効性を考える際に使える、といった3つの理由を挙げている。 ・2章は経済学的な観点からの制度の捉え方が紹介されている。新古典派は、市場に任せておけば万事大丈夫という立場だが、「市場の失敗」がありえるため、それを補足するものとして「制度」が用意される。それとはやや異なる立場(?)をとるのが新制度派であり、そこで核となるアイディアは「取引コスト」という考え方である。「社会分化という技術は生産性を増大させるが、取引コストを増やすこと、市場は社会分化によって生じる取引コストを縮減するという考え方」であり、「それでも残る取引コストによって市場の失敗が生じ、また市場メカニズムの帰結として失業・貧困が発生するが、制度がそういった問題をカバーすべく設計されること、しかし制度のあり方しだいでは逆に非効率性が生じる」といった説明がなされる。「社会分化→市場→制度」といった感じ。新古典派と新制度派の違いがどの程度なのか、双方とも市場の補完として制度をとらえているという整理がなされているように思える。この章では割と概念が導入されている。「取引コスト」「社会分化」「比較優位の原則」「モラル・ハザード」「プリンシパル・エージェント問題」「コースの定理」(=取引コストが存在する場合、制度設計は効率性に影響する)等。 ・3章は、制度に関する社会学的な説明と経済学的な説明の対比。経済学的な説明はここでも新制度派のもの。それによれば、制度が存在するのは取引コストを削減するためということになる。他方で、社会学的な説明はそれがあることによって、他者の行動が予測可能になるというもの。念頭に置かれているのはギデンズやルーマンだろうか。市場から制度や組織の説明を行うのが経済学、制度から組織や市場を論じようとするのが社会学という整理もなされている。 ・第4章は、階層についての捉え方についてで、経済学的には階層は市場メカニズムが機能した結果として生じたものであり、社会の効率化に寄与していると考えられる。他方で、社会学的には、階層は制度としては考えられずに、非公式の(例えば、文化資本の)制度がもたらした帰結であるとされる。ちなみに、効率性と公平性、「パレート改善」と「パレート効率」の区別がここで導入されているものの、それが社会学の階層論とどのようにつながるのかはわからない。加えて、社会学的には、家族、結婚といった制度が階層の維持に寄与しているといった指摘がなされている。 ・5章は消費社会論、6章は再帰的近代化論を経済学の側から捉え直している。このあたりから、著者のベースがほとんど経済学であるのではないかという気がしてきた。政策上の立場として、効率重視、公平重視、ライフポリティクス重視という3つの立場が紹介されているが、著者はいずれにしろ、効率性を加味した制度設計にかかわらざるをえないのではないか、といったことを示唆しているようにも思える。7章、8章は略。
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筆者にとっては心外かも知れないが、私にとっては「経済学」と「社会学」の橋渡しではなく、経済学(市場や制度、組織等)の「社会学化」に読める。経済学の領域にあるとみなされがちな問題群を社会学化することの、アクチュアルな意義、必然性を、もっと明確に打ち出して欲しかった…が正直な気分。実...
筆者にとっては心外かも知れないが、私にとっては「経済学」と「社会学」の橋渡しではなく、経済学(市場や制度、組織等)の「社会学化」に読める。経済学の領域にあるとみなされがちな問題群を社会学化することの、アクチュアルな意義、必然性を、もっと明確に打ち出して欲しかった…が正直な気分。実際、ギデンズに依拠しながら論考を進めている章(6章)がやはり生き生きしているように思える。文体は平易であろうと努めていることは伝わるが、決して平易だとは思えない。時に、脱線した文章が嫌みに響くこともあるし、使用されている言葉の水準が突如、難解になったりもする…。とはいえ、経済学を社会学の観点から視ること、制度(論)について理解の手がかりを得ることができる点は素直に良かった点。経済学における「取引費用」の議論など、なるほどなーと思わされた。巻末の文献案内も親切で好感がもてる。★としては、3.5くらい…という感想。
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